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クロスチャネルキャンペーンマネジメントの潮流

日本でも本格導入が進むクロスチャネルキャンペーンマネジメントの最新事情と今後の展望

一方導入企業の現場では…

 冒頭で日本でもCCCMの導入が進んでいると書きましたが、活用状況については企業間で大きな差があります。導入したものの、上手く活用できていないという企業が多いのも事実です。よく耳にするのは次のような悩みです。

  1. 導入したのはいいが社内スタッフでは運用が難しく、単純なメール配信ぐらいしかできていない。
  2. とりあえず簡単なプログラムを始めたが、次に何をやったらいいか分からない。
  3. プログラムの企画や導入に思っていたより手間がかかって回らない。

 折角の高機能なツールも、使いこなせていないという声が多いのは残念なことです。これはもちろんベンダー側にも責任がありますが、導入する側の認識の問題も大きいと思います。

 1.のケースはCCCMの運用難易度を認識できておらず、導入後の運用を想定したツール選定ができていなかったことが原因です。CCCMは高度で複雑な機能を持っており、ツールごとに大きな違いがあります。何度かデモ画面を見たぐらいでは全体像は全く理解できないと思った方がいいでしょう。

 運用難易度もツールによって大きく違いますが、いずれにしても導入直後から社内スタッフだけで運用するのは無理があります。機能の理解はもちろんですが、運用フローを確立する必要もあります。もし社内で難しければ、運用支援サービスの利用を最初から想定しておくべきです。

 どんな高機能ツールも使いこなせなければ全く意味がありません。ツール選定時には細かい機能よりも、自社の体制でどこまで運用できるか(または支援を受けられるか)を重視するべきだと思います。

 2.のケースは、自社で実現したいコミュニケーションの姿や戦略が明確でないことから起きやすい問題です。CCCMでは、次々とプログラムを追加しながらABテストによるチューニングを加えて最適化を進めていくプロセスが重要です。いわば「小さく導入して大きく育てる」タイプのツールです。展開イメージが持てないまま、単にメール配信を自動化したいといった“漠然とした思い”だけでCCCMを導入しても「大きく育てる」ことができません。

 3.のケースでは、CCCMのコンセプトに関する誤解があるかもしれません。CCCMは単にメール配信などを自動化して省力化し、効率を上げるためのツールではありません。顧客に喜ばれる、あるいは役に立つOne-to-Oneの顧客体験を提供することによって関係を築き、LTVを最大化するためのツールです。

 ですからオペレーションは省力化できてもコミュニケーションの企画や導入は省力化できず、むしろ大変になります。活用すればするほど、本来マーケターがやるべき仕事は増えていきます。最初からそのことを想定して運用体制を作っておく必要があるのです。

おわりに

 ここまで色々な角度からCCCMのことを見てきました。定義自体も曖昧なままで常に進化を続けているため実像を正確に捉えるのがとても難しいのですが、オムニチャネル化が進み、より顧客を中心にしたマーケティングコミュニケーションが求められるこれからの時代に重要な役割を果たすツールだと思います。

 この連載がCCCMに関する情報の整理や理解に少しでも役立てば幸いです。お付き合いいただきありがとうございました。

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この記事の著者

岡本 泰治(オカモトヤスハル)

 株式会社ディレクタス 代表取締役。リクルートを経て、ディレクタスを設立。数多くの大手企業のeCRM及びEメールマーケティングの戦略を立案し実行を支援。現在は複数チャネルを横断したクロスチャネル・マーケティングのためのコンサルティングとCCCMなどのツール提供、運用支援を行う。著書に『BtoC向けマーケティングオートメーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/11/25 08:00 https://markezine.jp/article/detail/21269

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