前回は西友「みなさまのお墨付き」の事例を紹介しました。こちらの記事を読んで、「これって、プライベートブランドだからこそ取れる戦略だよね」と思った方もいるでしょう。では、自社の共創マーケティングの戦略はどのように考えればよいのでしょうか?今回は、共創マーケティングならではの戦略の考え方を紹介します。
4つの戦略策定ステップ
共創マーケティングの特徴は、自社だけで完結するのではなく、協力してくれる参加者と共に取り組むことでプロジェクトを成功に導く点です。このため、参加者や生活者にとっての価値を考えることが重要です。
下の図を見ながら考えてみましょう。共創マーケティングの戦略策定ステップは自社の立場と参加者(生活者)の立場の両方から考えます。戦略を考えるステップは4つです。「①顧客ベネフィットを満たすブランドの使命の再確認」を行い、それを共創により実現するため、「②誰と、何を共創するのか」を決めます。
自社としてやりたいことが決まればそれを基に、自社だけでなく参加者にも価値を感じられる「③コミュニティのミッション・ステートメント」を作ります。最後に参加者が「④コミュニティに参加する価値・メリットの確認」を行います。企業は生活者が参加したいと思うコミュニティになっているかを確認し、全体を見直します。
次から各ステップの進め方を詳しく紹介します。
顧客ベネフィットを満たすブランドの使命とは
商品であっても企業であっても、ブランドには世の中に存在する使命、顧客にとっての価値・ベネフィットがあるはずです。共創の取り組みは社外の協力者や、社内の様々な部署と共に進めることが一般的です。様々な人たちに参加・協力してもらうためには、納得してもらうための目的が必要です。共創マーケティングの目的とは何か、「顧客にとって価値のあるブランドの使命とは何か?」から考えます。
例えば、スターバックスは2007年~2008年にブランドの危機を迎えていました。そこからの巻き返しを図るために創業者のハワード・シュルツ氏は、7Big Movesという目標を立てます。その中の1つ、「お客様との心の絆を取り戻す」というブランドの使命を実現するために作られたのが、「My Starbucks Idea」です。スターバックスは「My Starbucks Idea」を通して、お客様の意見を集めて取り入れる組織に変わっていったのです。
顧客ベネフィットを満たすブランドの使命を考えることで、ブランドが「生活者の何に役に立っているのか」「どのようなライフスタイルの実現をしているのか」に気づくことができます。また、参加者はブランドの使命を共に実現するパートナーである、という認識で捉え直すことも重要です。企業のこれまでのマーケティング・プロセスの一部に参加してもらうわけではありません。
CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の概念で言われているような、経済的価値(利益)と社会的価値の両方を満たすブランドの使命が定義されていれば、そのまま共創マーケティングの目的として定義できます。しかし、どんなブランドでも生活者にとっての価値を考えることで、参加者に共感してもらえる価値は見つけることができます。
例えば、スポーツ用品を作っているブランドであれば、商品を通してスポーツの楽しみを提供しています。スポーツを楽しむというライフスタイルを、商品を使ってくれているお客様と共につくることは、1つの共創マーケティングの目的になるでしょう。