「継続的な新規顧客獲得」は通販会社が必ずぶつかる課題
そして、関西におけるFacebook広告の成功事例企業として、生活総合サービス マーケティング部 WEBチーム リーダー兼システム部 リーダーの川畑政範氏と同社 マーケティング部 WEBチームの野口恵理氏が登壇した。

(左)生活総合サービス マーケティング部 WEBチーム 野口恵理氏
(中央)生活総合サービス マーケティング部 WEBチーム リーダー兼システム部 リーダー 川畑政範氏
(右)フェイスブックジャパン 代表取締役 岩下充志氏
生活総合サービスは、大阪に本社を置く、健康食品・化粧品等の通信販売会社だ。従業員数は、社員とアルバイトを合わせて約80名。2014年の年間売上は約60億にのぼる。2007年から「ていねい通販」という名称を掲げ、現在ではあらゆるマーケティング展開や販促施策を同ブランドで展開している。
「弊社は、健康食品や化粧品を取り扱うダイレクトマーケティングを行う通販会社です。具体的にはサプリメントの『高麗美人』『すっぽん小町』の2つの商品の新規顧客獲得を行い、クロスセルでその他の健康食品や化粧品を紹介していく戦略をとっています。主力商品の『すっぽん小町』は、全体の売上の7割を占めています。弊社のリピート率は平均90%。またここで買いたいと思ってもらえることが、他社との差別化であり、弊社の独自性です」(川畑氏)
川畑氏は自社のマーケティング課題として、「企業理念とウェブ施策の融合」「勝ちパターンの確立」「継続的に新規獲得ができる媒体の模索」を3点を掲げる。特に3つ目に指摘した「継続的に新規獲得ができる媒体の模索」については、ダイレクトマーケティングを行っている企業であれば、必ず向き合う課題だろう。
「特に最近では様々なプロモーションを試みたとしても、新規獲得は容易ではありません。特にウェブプロモーションにおいては媒体の疲弊が早いと感じています。より継続的に新規獲得ができるプロモーションを模索していた時に、Facebookとの出会いがありました」(川畑氏)
Facebook広告を活用した新規顧客獲得戦略
しかしながら、同社が実際にFacebook広告をはじめてから最初の半年は、なかなか成果が出せずに苦しい時期が続いたという。「どんなターゲットに、どのようなクリエイティブで訴求すれば響くのか。勝ちクリエイティブが見つかったことが、ターニングポイントとなりました。またFacebookをはじめたことにより、他の媒体への相乗効果もあると考えています」と野口氏。その効果を実感し、ここ半年でウェブの広告の4分の1をFacebookが占めるまでに伸長している。

そして同社の課題であった新規顧客の獲得について、野口氏は「弊社のウェブ広告における新規率は、現在は88%。一方でFacebook広告経由の購入ユーザーの新規率は95%と、非常に高くなっています。Facebookを通じて、今まで出会うことのなかったお客様に幅広くリーチできているのだと思います。また、Facebookで獲得したお客様のデバイス比率はPCが1割、スマホは9割です。弊社のウェブ広告全体としては、PCが6割、スマホが4割なので、Facebookはスマホ媒体に強いと実感しています」と語る。
Facebook広告は運用が要/勝ちクリエイティブの極意
では、Facebook広告の運用面での秘訣はあるのだろうか。

「弊社のやり方としては、デモグラフィック配信で多くの人にリーチをかけた後に、広告を見た方にセグメントをかけて、ターゲティングする戦略をとっています。割合としては、全体の7割をデモグラフィック配信で。その後に類似オーディエンスやリターゲティングを行い、3割ほど獲得しています。CPAに関しては、デモグラフィック配信はコストが高くなってしまいますが、リターゲティングと類似オーディエンスは他媒体の約2分の1のCPAで効率的に獲得できています。
様々なオーディエンスに対して配信を拡大することで、リターゲティングのボリュームを増加させることができます。なのでまずはしっかりFacebook内で広告を多くの人に見せていくことが大事になってきます」(野口氏)
これまで同社が作成してきたFacebookのバナー広告クリエイティブは、167パターンにのぼる。「成果が伸び悩んだ半年間に、たくさんのクリエイティブを作成し、勝ちパターンを見つけるために試行錯誤しました。Facebookはユーザーのアクティブ率も高いので、他の媒体に比べてクリエイティブの疲弊が早いように思います。なので弊社では週に1回、10本以上のクリエイティブを回していく体制をとっています」と野口氏。そして同社が導きだした勝ちクリエイティブのノウハウが紹介された。

今回の講演で語られた同社の成功事例を振り返って、「Facebook広告で成果を出すためには、一言でいうと運用力が重要です。効果がでない期間も、Facebookのポテンシャルを信じて、PDCAをまわし続けました」という川畑氏の言葉には、実感がこもっていた。これを受けて、「Facebookとしても、これからも様々な企業の成功事例を紹介していきたい」と岩下氏は締めくくった。
