テーマは「Beyond Ad-Tech」
今年初開催された「アドテック関西」。111名の公式スピーカーが、5つの基調講演と24のカンファレンスセッションに登壇した。その公式カンファレンスセッションの人気&満足度ランキングで1位になった講演が「ターゲティングかリーチか、ROIのあがる最適なマーケティング方法」だ。
モデレータを務めるのはヤフー マーケティングイノベーション室 本部長の友澤大輔氏。友澤氏は今日のテーマとして「Beyond Ad-Tech」を掲げる。「アドテクを超えたその先では、どうやってマーケティングをやっていけばいいのか。現場では実際には何が起きているのか。真のデータドリブンなマーケティングについて、4人のパネリストのみなさんと一緒に今日はディスカッションしていきたい」(友澤氏)
ディスカッションの3つのテーマ
(1)リーチとターゲティングのどちらを重視しているか?
(2)事業会社における成功事例・失敗事例の共有
(3)課題と解決策(課題解決までのアプローチ/予算など)
リーチとターゲティング、どちらが大事?
リーチとターゲティングのどちらを重要視すべきか。マーケターであれば一度はこの問題に向き合ったことがあるだろう。この問いに対して、ユニリーバ・ジャパン メディアディレクターの山懸亜己氏は「両方大事です。リーチとターゲティングは、それぞれの施策ごとに設定をしていくものなので、選ぶということはできません。ユニリーバは、ダヴやラックスといったブランドを持つ一般消費財メーカーで、売上のほとんどはスーパーやドラッグストアなどのオフラインの店舗で上がっていることもあり、圧倒的にリーチが重要な業態です。リーチが大きくとれないとプロモーションにならないこともあり、リーチは一番重要ですね。でも、だからといってターゲティングしていないわけではありません。例えば女性向けの製品なのに男性にリーチしてもあまり意味がないので、ターゲティングの視点も持ち合わせて施策を行っています」とこたえる。
一方、テレビCMなどのマス施策を行いつつ、効率重視のイメージの強いリクルートではどちらを重視しているのだろうか。リクルートライフスタイル CRMコンテンツマネジメントグループマネージャー IDポイント編集長の渡部純子氏は「まず前提として、テレビとウェブのリーチは分けて考えている」という。
「テレビCMの目的ブランディングです。名前を知っていることで選ばれやすくなるなど、中長期的にCVを底上げする目的でやっています。なのでテレビCMを放映したからといって、直接アクションが何件とれる、といったことは問いません。ただしウェブの集客に関しては、明確にターゲットCPAという目標値を各媒体毎に設定しています。そのCPAの範囲の中で、最大限のリーチを実現していきます」(渡部氏)
では、広告会社の視点ではどうなのだろか。ここで電通の眞鍋尚行氏は「基本的には、クライアントのブランドによります」と述べる。
「テクノロジーの発展もあって、最近はターゲティングに偏重しがちのように感じています。しかしマーケティング全体で捉えるのであれば、もう少しリーチを見直してもいいのでは、と個人的には思っています。昨今では、一個人の行動データの活用に注目が集まっています。つまり、行動データを活用したデータドリブンなメディアプランニングをきちんとやっていかなくてはいけません。勘と経験ももちろん大事ですが、データドリブンな裏付けに基づいてリーチもターゲティングも施策を行っていきべきでしょう」(眞鍋氏)