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「広告主の利益に繋がり、かつ媒体社の収益最大化を実現する仕組みをつくる」電通が目指すPMP市場の構築

新たな市場、プライベート・マーケットプレイスを構築していく上での具体的課題

――電通とGoogleが市場をリードし、PMPを構築していくことで、今の日本のネット広告市場における課題を解決し、極めて理想的なかたちで純広告やRTBではできなかったことが実現できる可能性があります。パフォーマンス系だけでなく、ブランド系の広告主にとっても、ネット広告の価値を上げていくことができるでしょう。ところで、PMP市場を構築していく上で、どのような課題があると認識していますか?

 「まずはメジャメント(効果計測)の問題です。これまでのネット広告はCTRで効果を測っていましたが、先程有園さんがおっしゃったように、PMPに関してはビュー自体にどれだけ価値があるのかが焦点になってきます。昨今、クリック重視のトレンドに疑問を持たれ、インプレッションの価値計測を精緻に計測される広告主が徐々に増えてきています。1クリックされるまでの999回の広告表示をほとんど評価してこなかった(CTR0.1%の場合を想定)今までの広告評価習慣は、今後は徐々にあるべき方向にシフトしていくであろうと考えております。インプレッションにどれだけの価値があるのか、第三者配信や態度変容調査などを行い、その価値をより適切に把握できるように、電通としても現在も準備を進めております。

 また広告フォーマットの問題もあります。よりユーザーにとってストレスなく、しかしインパクトのある広告フォーマットをいかにつくって売っていくかも課題です。そしてスマートフォンですね。PMPの取り組みは基本的にはPCのブラウザベースで進めていますが、すでにスマートフォンはPVベースでPCを抜いています」

――先日のニールセンが発表した調査結果でも、2014年のAmazonや楽天のPVはスマートフォンがPCを逆転していることが明らかになりました(関連ニュースはこちら)

 「そしてスマートフォンにおける広告の占有面積はとても大きい。果たして今の広告フォーマットのままでいいのでしょうか。昨今のネイティブ広告の盛り上がりの背景にはこの問題があります。スマートフォンというデバイスに適したPMPはどのような仕組みなのか。それを模索することも今後の大きな課題の一つですね」

電通の使命は「広告主と媒体社の橋渡し」

――電通とグーグルが主導してPMPの市場をつくっていく。そのためには媒体社の協力が不可欠です。媒体社はどのくらいのってくるのでしょうか?現状ではオーディエンスデータを持っていない媒体社も多く、まずはオーディエンスデータをマネジメントすることで媒体価値が高まるという啓蒙をしていく必要があるのではないでしょうか。

 「現段階でも、かなり多くの問い合わせを媒体社からいただいています。弊社からアプローチする媒体社も含め、1~2月でリクルーティングをかけていきます。また媒体社がオーディエンスデータのマネジメントをできていないという現状は確かにあります。そこは電通グループとしての知見もあるので、支援していければと思います」

――つまり、今まで広告主側の運用のマネジメントを支援してきた電通は、媒体社のイールドマネジメントも支援していくということでしょうか。

 「電通グループとして、トータルで媒体社の収益をどう最大化するかといった課題には踏み込んでいく必要はあるでしょう。その一つの取り組みとして、2014年10月にCCIが媒体社向けに広告在庫資産運用サービス「Inventory Portfolio Management(IPM)」の提供を開始しました。また電通のイージス系海外子会社のアムネット社ではすでにこのようなビジネスを担っています。(CCIが提供する「IPM」の関連記事はこちら)

 もちろん電通としても、媒体社の収益を最大化する支援に関わっていきます。PMPの取り組みを成功させるためには、媒体社の在庫管理や収益状況をしっかりとマネジメントしていく必要があります。媒体社の収益最大化が広告主の利益につながる仕組みをつくっていくために、媒体社と密に関係性を築き、共に市場を構築していきます」

――媒体社の収益をあげながら、広告主もメリットを享受する。グループ全体で媒体社と広告主の両輪を回し、双方を“運用”していくのですね。

 「単純に考えると広告主にとっては単価が上がります。パフォーマンス領域でも、かつブランディング領域においても、どのようなかたちで広告主にそのメリットを返せるのか。ここが肝になります。これまで電通は、純広告とRTBの双方の運用を支援してきましたが、今回のPMPの取り組みはその選択肢をさらに一つ増やすイメージです。純広告、PMP、RTBをハイブリッドさせて運用し、広告主と媒体社の橋渡しを担っていくのが電通の使命です」

――Googleの仕組みを使って、電通が媒体社と広告主双方にメリットのある仕組みを構築していく。業界にとっても大きな意義のある取り組みですね。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

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安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2015/01/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/21477

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