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マーケター必見、ビッグデータ活用最新動向

リターゲティングの限界を突破する、ビッグデータを活用したオーディエンス拡張

オーディエンスの特徴をより正確にとらえるために

 オーディエンス拡張では、コンバージョンユーザーと平均的なユーザーを照らし合わせてどこに大きな差異があるのかを見つける。単純にコンバージョンユーザーだけに着目し、アクセス数などの多寡で特徴を見つけ出すわけではない。例えば拡張元となるコンバージョンユーザーのうち20%がWebサイトA(以下A)に、10%がWebサイトB(以下B)にアクセスしていて、平均的なユーザーを見てみると20%がAに、5%がBにアクセスしていたとしよう。

 拡張元となるユーザーだけを見るとAの方が割合が大きい。そのため、これを特徴と見なしてしまうかもしれない。しかし平均と比較すると、Aについてはどちらも20%と違いがないことがわかる。一方、Bについて見ると2倍の差となっている。この場合は割合が大きいだけのAではなく、比較して差の出たBを特徴とすべきだ。インターネットユーザーの誰もがアクセスするような、ポータルサイトやメディア系のWebサイトはAのようになる場合が多い。

 デジタルマーケティング関連のソリューション全般に言えることだが、特にアクセス解析ツールはあらゆるデータが数の多い順にレポートされることが多い。そのため、平均との比較が見落とされやすい。データ分析を行う際にはこの点をよく意識してほしい。

リターゲティングの煩わしさを解消するには

 インターネット上で情報収集して商品を購入したのに、いつまでも商品の広告が表示される=リターゲティング広告が配信され続けてしまう経験を持つ人は多いだろう。これは、外部のECサイトやオフライン(実店舗)での成約をDSP単体ではとらえきれないためだ。そして、CPAが高くなってしまう理由のひとつでもある。このような場合も統計手法を使ったアプローチで最適化が可能だ。

 現状、多くのマーケターが行っているリターゲティングの運用では、Webサイトの階層の深さで成約見込みを想定し、入札価格を変えている場合が多い。ECサイトであればトップページ・商品詳細ページ・買い物カゴの少なくとも3つの階層に大別される。トップページよりも商品詳細ページを見たユーザー、商品詳細ページよりも買い物カゴのページを見たユーザーの方が成約見込みが高いと想定し、見込みの高さに応じて入札価格も高く設定する、といった運用がされている。

 獲得効率を上げるためには、さらに細かく階層を分け、それぞれに適した入札価格を設定するべきだろう。しかし、細かくすればするほど運用に手間がかかるし、適切な入札価格を探る必要が出てくる。これが人手による管理の限界だ。

 しかし、アナリティクスアプローチを用いて、興味関心の高さを成約する確率で算定することさえできれば状況は一変する。確率が高いユーザーには高い価格で入札し、低いユーザーには低い価格で入札するよう設定することができる。つまり、一度は自社Webサイトにアクセスしたが、そもそもあまり興味を持っていなかったり、外部のECサイト等で購入済みで興味が薄れてしまったユーザーに対する広告の配信を避けることができ、これと同時に見込みの高いユーザーにより確実に広告を配信できるようになるわけだ。

 基本的には、オーディエンス拡張とほぼ同様のロジックでコンバージョンする確率を推測することができるが、リターゲティングの場合、DMPに蓄積されたユーザーの行動データに加え、自社で保有しているデータも活用できる。いつアクセスしたのか、どのくらい滞在したのかといった自社サイトへのアクセスログやRFM(Recency Frequency Monetaryの略。直近でいつ買ったか・何回買ったか・いくつ買ったか)分析を用いることでリターゲティングの精度を上げることができる。リターゲティングに限らず、企業間でデータを持ち寄って活用していくのも重要なことだろう。

ブランディングにも活用できる、オーディエンス拡張のこれから

 従来、オーディエンス拡張はコンバージョンユーザーを拡張して、Web上の行動ログが似ているユーザーを見つけることに主に利用されてきた。しかし最近ではコンバージョン以外のデータも活用し、アンケートの集計結果から導き出したある特徴を持ったユーザーや、購買データを元にしたLTVの高いユーザーを元に拡張し、似ているユーザー広告配信を行うケースも増えている。

 オーディエンス拡張という機能を最大限に生かすためには、拡張の土台となる既存顧客のアンケートのデータやCRMのデータのような良質な社内データをどれほど持っているかがマーケターの資産となると言えるだろう。

 今回は、ビッグデータを活用した「オーディエンス拡張」と「リターゲティングの改良」という、獲得系プロモーションの広告運用について紹介した。次回は一般的に「ブランディング広告」とよばれる認知獲得を目指すプロモーションにおける、ビッグデータの活用方法について紹介する。
(ビッグデータ解析部 データアナリスト 吉村和倫)

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デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)ビッグデータ解析部(デジタルアドバタイジングコンソーシアム ビッグデータカイセキブ)

 2013年、「ビッグデータを基盤に、広告主・媒体社と生活者のコミュニケーションを豊かにする」ことをミッションに設立されたデータ解析のプロフェッショナルチーム。データサイエンティスト、エンジニアなど多様なバックグラウンドを持つデータ解析のスペシャリストたちが、日々自社プラットフォームにかかわるデータ全てを解析し、プ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/12/24 12:00 https://markezine.jp/article/detail/21543

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