ジオ・フェンシングとは
― 「ジオ・フェンシング(geo fencing)」は、スマートフォンなどの位置情報を使って仮想的なフェンスを設けることで、そのフェンスの中にいる人に向けてサービスを提供する技術という理解が一般的だと思います。今日は、ジオ・フェンシングを使ったサービスを提供しているAdNearと、その日本における戦略パートナーであるマイクロアドプラスの両社にお話をおうかがいします。まず、AdNearという会社について紹介していただけますか?
猪谷 AdNearが設立されたのは2012年で、シンガポールに本社があるのですが、開発拠点はインドのバンガロールにあります。東南アジアを中心に発展してきた会社で、香港、インドネシア、オーストラリア、インドで事業を展開しています。中でもオーストラリアは今、急激に業績が伸びています。日本では2014年10月にオフィスを構えて、すでにいくつか取り組みを開始しています。
消費者の利用端末がスマートフォンにシフトする中で、その位置情報を使った「Location-Based Service(LBS)」市場はこれから大きく成長する分野と見られています。ジオ・フェンシングはスマートフォンのGPS機能を使って、アプリに対して情報をプッシュするというのがよく知られた使い方ではないでしょうか。例えばスーパーマーケットがあって、その周辺300メートル以内にいる人に対してプッシュ通知を出したり、ショートメッセージを送ったり……といった使い方ですね。AdNearの場合は、スマートフォンへのプッシュ通知ではなく、モバイルアプリの広告欄に広告を配信しています。また、位置情報はジオ・フェンスのためではなく、オーディエンスのプロファイリングにも活用しています。
ただ、AdNearが違うのは、GPSだけでなく、基地局やWi-Fiのシグナル情報をマッピングして位置情報の判定材料にしているので、GPSをオフにしている人に対しても広告配信ができます。
― 御社が行なうプロファイリングとはどういうものでしょうか。
猪谷 以下の3つの情報をベースにしてプロファイリングしています。
1. どういうアプリを使っているのか
2. 位置情報
3. 第三者のマーケティングデータ(例:ニールセンのデータやセンサスの統計情報、地価情報など)
AdNearでは、こうした情報を組み合わせて「オーディエンス」を構築し、そこにターゲティングすることができます。たとえば、昼間は大学に行って、大学でアプリを開いていて、夕方に新宿あたりへ移動する人がいたとする。そうした行動特性を取って、「●●大学でいつもアプリを開いているから、この人はどうも学生らしい」ということがわかると、「学生」というプロファイリングをします。さらに開いてるアプリの傾向によって、「この人は20代の学生」というような属性を付ける。こういったやり方でセグメンテーションを切っていって、そのセグメンテーションをベースにしてターゲティングが可能になります。
― 海外で、AdNearを利用している企業は?
猪谷 海外ではリテール(小売)がひとつの大きなカテゴリとなっています。そのほかにも、FMCG(日用品)、コスメティクス、自動車といった企業、いわゆるブランド系の会社が多いです。基本は、CPMベースで、直接コンバージョンをねらうというよりは、ブランドの訴求やエンゲージメンントといった目的での利用が多いです。
AdNearで可能になる2つのターゲティング
猪谷 AdNearのターゲティングには、主に2つの手法があります。ひとつは先ほど紹介した、プロファイリングを使ったセグメント配信、もうひとつは今マイクロアドプラスが取り組んでいる手法ですが、「20~40歳の女性で、ある商業施設の半径2キロ以内にいる人たちに対して広告を配信する」といったプロファイリングデータとの掛け合わせで広告を配信する手法です。
プロファイリングの代表的なものに「富裕層」があります。夜、自宅でアプリを開いてる地区を調べて、その地区の路線価が高いか、住んでるマンションの不動産価格が高ければ、この人は富裕層だという見方をしています。「旅行者」は頻繁に空港でアプリを開く人ですね。「主婦層」は、いわゆる住宅地でアプリを開く人……などのプロファイルを用意しています。これらは国を問わず判定ができるので、標準的なプロファイルとして各国で提供しています。
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