「訪問者」が意味するものは?
最初に理解しておくべきこと、それは得られたカスタマープロファイルはどういった粒度/単位で把握されているのか、ということです。
サイトトラッキングには幾つかの方法がありますが、訪問者の特定においてはCookieを用いる、もしくはIPアドレスとユーザーエージェントの組合せを用いる手法が利用されているケースが多いと思います。
つまり一般的にトラッキングツールで「訪問者」と規定し計測しているのは一人ひとりの「お客さま」という単位ではなく、「同一の端末の同一のブラウザ」を認識しているに過ぎません。もちろん業態や施策の切り口等によってはこの条件でも十分な分析が可能でしょうし、そこから得られる仮説からより良いアクションを実現できる場合もあるでしょう。
しかし例えばForrester社の調査によると複数のチャネルからブランドとつながろうとする顧客は60%を超えており、またスマートフォンとタブレット端末の普及率がそれぞれ54.7%、20.9%(参考情報:消費動向調査:平成26年3月実施調査結果、内閣府発表)という事を考慮するならば、「同一の端末の同一のブラウザ」ベースの訪問者の数値と、「お客さま」単位での訪問者の数値には大きな乖離があることは想像に難くないかと思われます。実際弊社で調査した際もそこには大きな差が存在しておりました。
そしてそれは単なる“数値”の差の問題だけではなく、“意味”の差の問題にもなるのです。なぜなら本来見るべき「個客」の一連の行動が、デバイスをまたいだ瞬間、または単にブラウザを切り替えただけで計測が断絶され、ばらばらに切り離されてしまうからです。つまり、最近では当たり前のように行われている、“スマートフォンで検索して商品情報を比較し自宅PCからオンラインで購入する”といった顧客行動を捉えることができないのです。
パーソナイラゼーションを推進する上で、この問題は非常に大きな障壁となります。もちろん、パーソナイラゼーションのフォーカスを多少ぼかす事でその障壁を上手くかわしながら施策を構築することもできます。
しかし、もし皆さまのサイトで例えばログインID等の、お客さま固有の“識別子”を取得できるのであれば、それを活用することで「お客さま」単位でのトラッキングが可能となります。
「お客さま」単位で捉える/Cross-Device Visitor Identification
例えばAdobe Analyticsであればこのような「お客さま」単位でのトラッキングはCross-device Visitor Identificationという機能を活用することで実現可能です。この機能によって一度でも識別されたデバイス/ブラウザからであれば、同一の「お客さま」からのどのアクセスもすべて同じ「お客さま」として認識することができるようになります。
その結果“スマートフォンで検索して商品情報を比較し自宅PCからオンラインで購入する”といった顧客行動も、マーケターがAdobe Analyticsでしっかり把握し、分析することができます。そして、もちろんこれらの分析によって作成したセグメントは、Master Marketing Profileを利用してAdobe Targetに引き渡すことができますので、簡単にパーソナライズドコミュニケーションを実現することができます。
是非Adobe Marketing Cloudを、マーケターの手によるパーソナイラゼーションの推進にお役立ていただければと思います(なお記事内で紹介した素材の一部は実際のものと多少異なります。ご了承ください)。
特設ページ「オムニチャネルでのデジタルマーケティングを進化させるには?」公開中!