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MarkeZine Day 2015 Spring

「広告の力を借りないコンテンツを作りたい」、HOME'Sと眞鍋海里が語る動画「ドリーマー」の制作背景


 不動産情報サイト「HOME'S」が2014年12月に発表した動画コンテンツ『ドリーマー』は、2015年3月現在再生回数86万回超、さらに国内視聴者だけでなく海外ユーザーからも注目されているコンテンツだ。MarkeZineDay 2015 Springでは、HOME'Sを運営するネクストの橋本勝洋氏、動画を制作した広告代理店BBDO J WESTの眞鍋海里氏が、動画制作の背景とその狙いを語った。

スタートは「新しい集客方法」探しだった

伊藤:動画を活用したマーケティング戦略が注目されており、2014年は「動画活用元年」と言われることもありました。様々な調査会社のデータを見ても、「動画プラットフォーム市場や動画広告市場は成長している」といった結果が出ています。

 ですが、実際に「マーケターやクリエイターがどのようにコミュニケーションを取り、意思決定をしながら動画制作を進めているのか」その具体例はなかなか表に出てきません。本セッションでは、2014年の公開以来多くの反響を呼んだ動画コンテンツ『ドリーマー』(提供:不動産サイト「HOME'S」)の制作に携わったキーマンお二人をお招きし、具体的な狙いや制作背景を伺いたいと思います。

右から株式会社ネクストHOME'S事業本部 デジタルマーケティングユニット橋本 勝洋氏、株式会社BBDO J WESTコンテンツ開発局 コンテンツプランナー眞鍋 海里氏、MarkeZine編集部伊藤桃子
右から株式会社ネクスト HOME'S事業本部 デジタルマーケティングユニット 橋本 勝洋氏
株式会社BBDO J WEST コンテンツ開発局 コンテンツプランナー 眞鍋 海里氏
株式会社翔泳社 MarkeZine編集部 伊藤 桃子

伊藤:まずはお二人の自己紹介と、動画制作における立ち位置を教えて頂けますか。

橋本:HOME'Sの運営会社であるネクストの橋本です。私の担当領域はデジタルマーケティングですが、当初から動画制作を目指したわけではありませんでした。「新しい集客方法を探す」というミッションの下、様々な取り組みを行っています。その中のひとつとして動画があり、動画に携わるようになったのもこの1年半ほどです。

 また、私の所属するチームはテレビCMの制作とは異なります。テレビCMはブランディングチームが担当しており、私たちは、より具体的な売上成果につなげるための動画コンテンツを制作しています。

眞鍋:BBDO J WESTでコンテンツプランナーを務める眞鍋です。最近の代表作としては、2014年に公開された、『雪道コワイ』という動画があります。こちらを多くの方に注目していただき、現在は動画のオーダーを多くいただいています。

 ただ、私自身はグラフィックもやればデジタルコンテンツも作るという、デジタル領域全般で様々な取り組みを行ってきました。何でも作るコンテンツプランナーとして、「人と企業のハブになるようなコンテンツを作っていきましょう」というスタンスで広告戦略の支援を行っています。

伊藤:ありがとうございます。では本題に入りたいと思います。本日の話題の中心となる動画コンテンツ、『ドリーマー』誕生のきっかけを教えてください。

橋本:繰り返しになりますが「新しい集客方法を探す」ことが私に与えられたミッションでした。その理由は2つあります。1つは、集客単価が高騰していく中で効率化が求められていたこと。そしてもう1つは「カスタマージャーニーに基づいて消費者のモチベーションを促し、あらゆるシーンでコンバージョンしてもらってサービス利用頻度を上げる」ということです。

 そこで「モチベーションを上げるクリエイティブとは?」というテーマで、様々な試みを実施しました。動画もその1つだったのです。

広告パワーを使わずに、見てもらえる動画をつくりたい

伊藤:具体的に、どのような施策を行ったのですか?

橋本:2013年12月以降、動画活用に関するいくつかの仮題検証を行いました。まずはクリック増を目指し、動画の様々な所にアノテーション(テキストリンク)を配置してみました。ですが、なかなかコンバージョンにつながらない。しかし、そのうちに「(動画)の最初の方でクリックした人」と「最後の方でクリックした人」がいる場合、後者の方がコンバージョンにつながる率が高いことが分かりました。

動画の後半にクリックした人の方がCVにつながる
動画の後半にクリックした人の方がCVにつながる

 また、クリエイティブの内容をどこまで覚えているかアンケートを取ったところ、コンバージョンが高い人ほど、クリエイティブの内容を覚えていることも分かってきました。

 では、どんな「クリエテイィブが良いか」という観点で、人気のYouTuberを使った動画コンテンツを作ることにしました。1つは、しゃべる猫の「しおちゃん」を使ったコンテンツ。もう1つがYouTuberで人気のバイリンガールをメインにしたコンテンツです。しおちゃんコンテンツは、再生回数は非常に大きいのですが、サイト訪問後のコンバージョンという観点でいくと、バイリンガールの方が高い結果が出ました。

 とはいえ、しおちゃんの影響力は非常に高く、こちらが施策をしなくても自然と再生回数が増えたのです。観測を続けていくと、実はこのオーガニックでの再生が伸びるほど、コンバージョンも上がっていくことが分かってきました。

眞鍋:そうした結果を踏まえて、橋本さんがご相談に見えました。「オーガニックに見てもらえるコンテンツ、広告パワーを使わずに見てもらえるコンテンツを作りたい」ということで、そこから今回の『ドリーマー』の制作プロジェクトがスタートしたわけです。

そして、完成したのがこちらの動画です。

 

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最初は「泣けるコンテンツ」を作りたかった

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/06 22:50 https://markezine.jp/article/detail/22288

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