アドワーズとアナリティクスを使い分けよう
さて、今までアナリティクスで見られるアドワーズに関連した解析結果を紹介してきましたが、実は同様の解析結果はアドワーズでも確認できます。
しかも、アナリティクスとアドワーズの両方で解析してくれる項目に関しては、登録キーワードを数多く俯瞰して成果を調べられることから、アドワーズの解析画面のインターフェイスの方が、筆者個人的には見やすいような気がします。
そのため、CPC広告出稿時は日常的に広告のパフォーマンスをチェックすることになりますが、そういった短期間に集中的に行なうチェックは、アドワーズの解析画面で確認した方がベターではないかと思います。
では、アナリティクスにできて、アドワーズの解析にできないことは何か。それは、アクセス全体から見て、CPC広告経由のアクセスの成果がどれほどの割合を占めているか、のチェックです。アドワーズの解析画面で調べられるのは、アドワーズ広告に関するデータのみ。そのため「他の広告の成果とアドワーズの成果の比較をしたい」といった時や「全アクセス数に占めるアドワーズ経由のアクセスがあまりにも少ないから、やっぱり出稿をやめようか」といった時など、大きな視点でのチェックでは、アナリティクスの出番となります。
あくまでも利用例のひとつに過ぎませんが、そういった使い分けができると、より深く解析結果を掘り下げることができ、次の一手を打つ際の参考資料が短時間かつ効率的に作れるようになるでしょう。
戦略的なアドワーズ利用の一例
最後に(アナリティクスの記事なのにアクセス解析とは直接関係なくなってしまいますが…)、筆者の経験に基づき、アドワーズの使い方について簡単に解説したいと思います。
アドワーズですが、広告を出稿するというよりは金を出して検索結果の上位ページの表示エリアを買うという意識でいた方がいいかもしれません。つまり、究極のSEO対策でもあります。地道にSEO対策を施す場合、キーワードによっては上位表示されるまでに長期間かかってしまいますが、アドワーズさえ使ってしまえば(お金さえ払えば)一気に上位表示してくれます。あまりSEO対策に「時間をかけられない」という事情がある企業の場合は、アドワーズの利用は極めて有効な手段でしょう。
関口むつみさんの連載『これならわかる!集客の鉄則』の「第2回 集客は開店前からもうはじまっている(2) 前編」のこのページに詳しいですが、ユーザーが検索エンジンを利用する際、目的はもうすでに決まっています。そのユーザーの目的が何らかの購買だった場合、検索結果の上位に表示されれば、自社サイトへの訪問→購買に結びつく可能性はもちろん高くなります。何しろ、訪問数を増やさないことには売上げにも結びつかないですから。
なお、筆者が今まで業務を通して利用してきた経験から言いますと、アドワーズは短期集中で使った方が売上げに結びつきやすかったです(もちろん売る商材やサービスによっては当てはまらないケースも出てくると思いますが)。なので、もし筆者がWebマーケティングの担当をしていて「アドワーズを使おう」ということになった場合は、新商品や新サービスの発表時、キャンペーン期間といった、ある程度まとまった予算がとれるイレギュラーなイベント時に限定します。
そして、あらかじめアドワーズにも予算を割り振って「1ヶ月で○○万円使う」とかにしておき、クリック単価が高めのキーワードにも躊躇せずどんどん出稿してしまいます。いわば、「じゅうたん爆撃」ですね。アドワーズであれば、それほどの予算を必要とせずとも可能です。
そうすると、売上げに結びつきやすいのはもちろん、アドワーズの掲載をやめた際にどれだけ売上げに変動があるかという計測がしやすいというメリットもあります(ただし、商品単価が安い商材を扱っている方は広告費が粗利を大きく上回ってしまう可能性があるのでやめましょう)。
また、上記のような「短期集中作戦」を取る理由として、常にアドワーズを出稿した状態だと、やはり日常的に出稿費用などに関してチェックしたり、結果が芳しくない場合はキーワードを見直したりする必要があるということもあります。アドワーズ経由の集客が圧倒的メインである場合はいいのですが、そうでなかった場合、特に少人数でWebマーケティングのチームを組んでいたりすると、アドワーズの効果測定のチェックに時間をとられすぎてしまうということもあります。
かなり限定的な利用例かもしれませんが、アドワーズ利用の際のサンプルケースの一つとして、皆様の参考になれば幸いです。
さて今回はここまでです。今回はアドワーズのユーザー向けの記事になってしまったので、次回は気を取り直して、アナリティクスのユーザーなら知っておきたい「データのエクスポート」について解説していきたいと思います。お楽しみに。