著者にかかれば片付けられないものはない!
整理整頓が人生を作る
机が汚い、片付けてもすぐにものが散乱する――こんなお悩みを抱えている皆さん、こんにちは。いい仕事は整理整頓から、といいますが、積もり積もった書類はなかなか片付けられませんよね。ですが、机周りがきれいな人ほど仕事ができるという印象を与え、掃除が人生を豊かにするのも事実(断捨離を取り入れた覚えは?)。ここはひとつ、ちょっと時間を取って「おかたづけ」に乗り出してみませんか?
重い腰を上げた皆さんによきアドバイスをもたらしてくれるのが、翔泳社が5月18日(月)に刊行した『たのしいおかたづけ THE ART OF CLEAN UP LIFE MADE NEAT AND TIDY』です。整理整頓が人生を作る、ということで、著者ウルスス・ウェールリさんがさまざまな整理整頓術を見せてくれます。
これぞ本当の「おかたづけ」
まずは小手調べ。夜、空を見上げればいつでも見ることができる星空を整理してみましょう。これほどの星空を見られる地域はどこにあるのだろう、とそちらのほうも気になります。
星は明るさによって一等星から順にランク付けがされますが、明るいということは大きく見えるということでもあります。さて、皆さんはこの星空、どんなふうにお片付けしますか? 明るさ、それとも星座? ウェールリさんはこんなふうに整理整頓してくれました。
皆さん初めて目にしたかもしれませんが、これが「整理整頓座」です。とてもすっきりしましたね。古代の人々は星がランダムに配置された天球を見上げ、そこにさまざまなイメージを当てはめ星座を生み出しましたが、はたしてこの星空から導き出される星座はどんなものになるのでしょうか。いずれにせよ、分析しやすい形にはなりました。
続いてフルーツサラダを整理してみます。
いくつもの具材がばらばらに詰め込まれたこのボウル、眺めていると無性に何がどれくらい入っているのか確かめてみたくなりませんか? では、実際にやってみましょう。整理整頓の考え方は星空と同じです。
こうして具材を並べてみると、見た目がいかに重要かというのが分かります。彩りよかったあのフルーツサラダの味気ない姿に少し同情します。しかもよく見ると、ボウルの水玉模様まで整理されてしまっていますね。もしかすると、マーケティングに必要なデータ分析の原理的な考え方は、このフルーツサラダの整理整頓と同じなのかもしれません。
リゾート風景もマグリットも整理整頓からは逃れられず
何でも片付けてしまうウェールリさんですが、圧巻はリゾート風景の整理整頓です。皆さんも自分ならどう整理するか、考えてみてください。
パラソル、シート、遊具、人がこれでもかとひしめき合う一枚の写真。もはや何が何やらという状況ですが、落ち着いて「おかたづけ」を始めましょう。要素とカテゴリーを拾い出していけば、それほど難しくはありません。実際にやるには、時間がかかると思われますが。
ここまで見てきた皆さんには簡単だったかもしれませんね。こうした写真がどうやって撮影されたのか気になる方は、ぜひ原著出版社のChronicle Booksが公開している紹介動画をご覧ください。撮影に参加された方々も楽しそうです。もちろんすべての作品で、CGは一切使用しておりません。
また、著者のウェールリさんはTED Talksでも講演をされています。「アートの整頓」と題された動画は110万再生を超えるほどの好評で、観衆の笑いを誘っています。
動画の中では、ただいま日本でも6月29日(月)まで国立新美術館で展覧会が開催されているルネ・マグリットの有名な作品「ゴルコンダ」もウェールリさんの標的に。浮遊する男性たちがすっきりと「おかたづけ」されてしまいます。
東京の八重洲ブックセンターではパネル展を開催中!
いささかブラックユーモアも漂う本書、東京駅そばの八重洲ブックセンター本店ではパネル展を開催中です。6月6日(土)までの期間限定で、本稿では紹介していない写真も大きなパネルで展示しています。
展示を担当してくださった鈴木さんにお話を聞くと、「当店は40代、50代の男性が主な客層で、そうした方向けの本を揃えています。ですが、展示はできるだけ違う感じが出る本を扱いたいんですよね。その意味で、『たのしいおかたづけ』は当店のイメージと違っているので面白いと思いました」とのこと。
また、本書のような児童書寄りのアート本は書店でも展開の仕方が難しいそうです。しかし、中身を見れば一目瞭然。そこでパネル展という場が活きることになります。展示スペースが2階で、1階からのエレベーターから見えるため、気になって立ち寄ってくださる方もいるとか。
物事を分類するための、論理的な考え方を養う
本書はあくまで写真絵本という形式ですが、そこに込められた意図には深いものがあります。机周りでもマグリットの絵画でも、片付けるには物事を適切に分類することが不可欠です。整理整頓が苦手だった方は、ぜひ本書で「分類の考え方」を見出してみてください。
もちろん子供に片付けの楽しさを教えてあげるために、一緒に読むのもよいでしょう。散らかっているときと片付けたあとの写真を撮ってアルバムにまとめていけば、オリジナル『たのしいおかたづけ』の完成です。あとで振り返れば、話の種になること間違いなし。
ぜひお手に取って、ウェールリさんの世界観を楽しんでください。……最後に付け加えておきますが、机周りの整理整頓を忘れないでくださいね。リゾート風景のお片付けより簡単なはずです!
皆さんならどうやって「おかたづけ」しますか?