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Interest Economyの時代へ/「DUAL AISASモデル―バズ連動」の経済効果

Interest Economyの時代が到来/サントリー「忍者女子高生」の成功

 これから5~10年の間に、「Attention」を軸とした「マス連動」の時代が終わり、「Interest」を軸とした「バズ連動」の時代になっていく。Attention Economy から Interest Economyへ、といってもいいかもしれない。そしてAISASモデルにより「マス連動」が普及したのと同じように、「バズ連動」はDUAL AISASモデルを普及の原動力としていくのではないかと考えている。では、「DUAL AISASモデルーバズ連動」という組み合わせは、どのように経済効果を生み出していくのか?

 先にマス連動が検索だけではないと説明したが、その事例を2014年にバズった動画「サントリーC.C.Lemon 忍者女子高生」を例にして考えてみたい。まず、この動画は制作前からバズらせることを狙っていて、どのような動画がバズるのかについて、過去のYouTubeなどでの再生回数の多い動画を研究し、その成果を活かしている。つまり、動画キャンペーン開始前の段階で、これはバズるはずだという確信がもてれば、今後は事前に流通対策が打てるようになると思う。

「サントリーC.C.Lemon 忍者女子高生」の事例

1、流通対策

C.C.Lemonをコンビニエンスストアなどの目立つ位置に陳列し、「忍者女子高生」などのポップをつける。C.C.Lemonの店頭での売上増加を見込める。

2、検索連動型広告対策

「忍者女子高生」や「C.C.Lemon」などの関連キーワードで入稿し、適切なランディングページを設けてそこにユーザーを誘導する。ランディングページで直接的に商品を売ることもできるだろうが、飲料なので単品というよりはバルクで買うようなまとめ買いになるかもしれない。しかし、それ以外にも、バズ動画と連動した、ウェブ限定のキャンペーンや企画などを仕掛けることもできるだろう。

3、アフィリエイト対策

マス連動と同様に、アフィリエイターに対して広告の貼り替えを事前に依頼する。まぁ、実際には、飲料のアフィリエイト広告の貼り替えはあまりこれまで事例がないと思う。金融系のクレジットカードなどの方がやりやすいようだ。ただ、先にも書いたが、バズ動画と連動したなんらかの企画やイベントへの応募などを仕掛けることもできるかもしれない。

4、バナー広告対策

「忍者女子高生」動画のバナー広告を展開するというベタな使い方もあるだろうし、バナー広告からバズ動画と連動した企画やイベントページなどへ誘導するというのもあるかもしれない。いずれにしても、バナー広告単体での仕掛けよりも、バズ連動した方がクリック率やコンバージョン率が良くなる可能性はあると思っている。

 このように、検索連動型広告だけではなく、流通対策、アフィリエイト対策、バナー広告対策などをきちんと施すことによって、バズ連動の効果は高まっていくだろう。バズ連動の経済効果がどのくらいになるかは、現時点では計り知れないが、先にも書いたように、テレビがスマートテレビ化しテレビ端末から直にコンテンツがシェアされて、バズっていくようなことが普通になってくると、バズ連動はかなりの経済効果をもたらしてくれるのではないかと考えている。

「House of Cards」の成功に学ぶ、意図的にバズを発生させる方法

 この「DUAL AISASモデルーバズ連動」という組み合わせが、うまく経済効果をもたらしてくれるかどうかは、意図的にバズを発生させられるかどうかに依存すると思う。世の中には、「そう簡単にバズ動画なんて作れませんよ」と言ってくる人もいるのだが、私は、しっかりと研究することで十分に可能なんじゃないかと思っている。きっと、広告代理店のクリエイターの中には、成功するバズ動画を連発する人、バズ動画職人みたいな人が出てくるのではないだろうか。この「忍者女子高生」の例をみてそう感じるし、また、2013年にPrimetime Emmy Awards(いわゆる、エミー賞)を獲得した「House of Cards(ハウス・オブ・カード)」のケースをみて強くそう感じる。

 「House of Cards」は、Netflixが主導して制作した。Netflixは2013年ごろからオリジナル番組を作成していくという方針を打ち出し、制作会社と組んでNetflixブランドのドラマの提供を開始している。その結果、生まれたのが「House of Cards」だ。Netflix上だけでシーズン1を一気に公開し話題を呼んだが、ネットで生まれた作品がエミー賞を受賞したのはエポックメイキングな出来事であった。

 Netflixはインターネットならではのコンテンツ制作手法を取っているらしい。つまり、大量にデータを収集し、徹底的に分析して、どんな番組が流行るのかを研究しているとのことだ。その成果を「House of Cards」に活かしたらしい。たとえば、各コンテンツに大量の「タグ」をつけて情報を集めて分析する。ドラマのカテゴリーやジャンル、監督や出演者、使用されているBGMなどなど、さまざまなパターンを約5万ほどに分けているそうだ。それを分析すると、どんなドラマがヒットするかが見えてくる。題材やプロット、シナリオ、監督や出演者、音楽などを決定するのに、そのようなデータ解析を使っているのだ。(英語の記事になるが、この「House of Cards」のBig Data活用については、New York Timesのこちらの記事を参考に

 おそらく、今後、このような解析手法は、テレビCMやバズ動画などにも応用されることになるはずだ。そして、「そう簡単にバズ動画なんて作れませんよ」と考えるのは素人だけになるのだと思う。十分な解析データと発想豊かなクリエイターの能力を掛け合わせることで、成功するバズ動画をバンバン連発するような職人が出てきてもおかしくない。そうなってくると、「DUAL AISASモデルーバズ連動」の経済効果がグッと高まってくるだろう。私の予感では、マス連動よりもバズ連動の方が経済効果が大きくなると感じている。

本記事は「Unyoo.JP」の記事「『マス連動』から『バズ連動』へ:DUAL AISASモデルの経済効果」を要約・編集したものです。長編のオリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/22486

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