Googleアナリティクスで「目標設定」をしていない方は必読!
Googleアナリティクスを「理解して」使えるようになるために
――Googleアナリティクス(以下GA)などを使ってウェブサイトの改善活動などを行っている小川卓さんと野口竜司さんに、新刊『達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座 売上に貢献するデータ分析がわかる7つのレッスン』についてお話をうかがいます。
初めにお二人を紹介します。小川さんはウェブアナリストとしてリクルートやアマゾンジャパンなどで勤務され、デジタルハリウッド大学大学院の准教授でもあります。野口さんは日本最大規模のGoogleアナリティクス専用部隊を保有するイー・エージェンシーのマーケティング・サービス開発担当の取締役です。GAに関してお二人以上の著者はまず見当たらない「達人」ですね。
ではまず、GAの解説本が多くある中で、本書をどういった内容にしようと考えていたのか教えていただけますか?
小川:いろんな方向性がありますが、シンプルに誰でも分かる類の本を考えていました。ですが、それだけだとGAの活用にまでは至りません。操作と機能が分かるようになるだけです。実際、GAの解説本はなるべく対象読者を広く想定して、GAを触ったことのある人全員向けにするために、機能の説明だけをしているものがけっこうあります。
そうした流れの中で、木田和廣さんの『できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240』(インプレス)は、GAをある程度使いこなしている人を対象にしていて、いい本だと思いました。このように読者を絞るという方向性もありますよね。
本書はあえて前者に焦点を合わせて、「GAを使い始めた人が目標達成のために、GAを理解して使えるようになる」という内容にしました。類書との差は充分に出せると考えましたので。私は目標とKPIの設定に関する章と、GAを活用したレポート作成についての章を担当しました。
野口:私と小川さんは翔泳社のMarkeZine Academyで講座をいくつか持たせていただいていて、GAの講座もまさにいま行なっています。また、私が取締役を務めているイー・エージェンシーでも、GAのトレーニング講座をやっています。
講座で人に教えていると、だんだん初心者の方がつまずくところが分かってくるんですよね。結局は基礎がないといけません。でないと応用もできないので、そこを重点的に書きました。例えばカスタムレポートを作ろうとしても、指標とディメンションという用語を120パーセント理解していないと、なんとなく作ったものになってしまいます。ということで、私はGAの使い方や用語についての章を担当しました。
特に「3章 基礎編 基本的なメニューと用語」はその後の応用編を読むために不可欠です。ここを理解して、どんな質問にも答えられるようになったら、ようやく4章へと進むことができます。いま世の中にある解説本では触れられてはいても、掘り下げられてはいないところですね。
アップデートでうろたえないための基礎力を身につける
――GAはアップデートが早く、使いこなせている人は常に少数なのではと感じています。アップデートに追いついて使いこなせている人は増えているんでしょうか。
小川:利用者数はここ数年で大きく伸びたと思いますが、使いこなしている人の絶対数は、それにまだ追いついていないのかなと感じています。また、すべてのレポートや機能を使いこなす必要はないかなと考えています。
まずはサイト全体の傾向や、キーワード・ページなどがどうコンバージョンに影響を与えるかなどを分析するところからスタートするのがよいかと感じています。分析上、必要であれば「アトリビューション」や「カスタムディメンション・指標」の利用を考えましょう。大切なのはすべてのレポートを覚えるのではなく、データの構造や基本的な考え方を理解しておくことです。これらは、野口さんが担当された章で説明がしっかりなされています。
自分の業務で必要になったとき、より適切な機能があると気づければ充分です。最初からすべて理解して使いこなすというのは不可能ですね。かくいう私も、最新のアップデートに完璧についていっているかというとそうでもない(笑)。必要であれば使う、という感じです。
野口:アップデートといえば、ちょうどユニバーサルアナリティクスという新しいバージョンに切り替わる節目の時期ですね。
小川:ちょうど移行期ということで、今後大切になってくる部分です。本書でも、ユニバーサルアナリティクスについて詳しく説明がなされています。
野口:本書のカバーにも「ユニバーサルアナリティクス対応」と書いてありますが、本書の価値はアップデートでは揺るぎません。たとえGAがどれほど進化しても、基礎は変わりませんから。