「そこに自分が住みたい」を基本にして働くことができる時代に
佐藤:一般論として、働く場所として、そして暮らす場所としての富士見町は、どうですか?
津田:庭が広くて丘みたい。富士山も八ヶ岳も南アルプスも一望できる。30分その辺を歩くだけで、たくさんの自然に触れてリラックスできる。生活し、集中して仕事をする場所として、とても気に入っています。騒音がまるでない。朝起きた時の気分が違う。標高1,000m以上なので、吸ってる空気が違う。水のおいしさが違う。それと、チェーン店はないけれど、個性的なお店はいろいろとあります。
佐藤:デメリットは、特に感じませんか?
津田:強いて言えば映画館がない、とか。でも、クルマで20分走ればアウトレットモールがありますし、諏訪や松本まで行けばもう都会なので。また、そういった都会にある娯楽がなくても、自然に触れる楽しさとか、それ以上の娯楽がたくさんありますからね。
佐藤:読者の中で、東京以外で働いてみたいと思う人に対して、何かアドバイスはありますか?

津田:プランナーなど、何らかのスキルがある人にとって、『そこに自分が住みたい』を基本にして働くことができる時代です。僕自身は何も、とにかく田舎がいいと思っているわけじゃなくて、選択肢が増えることが良いと思っています。
僕自身がいまやっていることで言えば、富士見町のプロジェクトを通して、“山の近くに住みたい”“山の近くで働きたい”という人に居場所を作りたい、と考えて活動しています。今年の冬には富士見町にシェアオフィス兼コワーキングスペースができる予定で、秋から利用客の募集を始めようとしています。そうやって人の移動性が高まり、そうすることで地域もいい方向に変わって行ければ良いなと思います。
津田さんが手掛けている「富士見町ホームオフィス・プロジェクト」の詳細はこちら!
日本の働き方がもっと自由になってほしい。本連載ではその中でも、「Where=場所」について、数回にわたってインタビューをお届けしています。以前に出した著書でも僕は、「なにがなんでも会社で働く」と「とにかくフリーになる」の間を模索しても良いのでは?という発想で、第三の働き方として「モジュール型ワーキング」を提唱しました。津田さんの例を見ていても、同じようなメンタリティを感じます。東京の会社に勤めながら山のそばに住む。一見とても出来そうにないことだって、第三の道を探せば、不可能ではないのです。この後も、東京以外の場所に拠点を移すことを選び取った人々の、さまざまな生き方や考え方や状況を、数回にわたってお届けして行きます。