各段階の施策が連動するフルファネルマーケティング
押久保:先ほど、BtoBでも成功例が出始めているとおっしゃいましたが、例えばどのような内容でしょうか?
バーディック:当社のリード・アクセレレーターを使った事例だと、Bizo時代から活用していただいているロックウェル・オートメーションでは、「ストリーム」と呼んでいるナーチャリングのシナリオを最終的に25種類つくり、多様なアプローチで成果を上げました。
各リードはスタート時点が同じでも、アクションに応じてストリームを移行します。例えば、自社サイトのトップページしか見ていない人には全般的なメッセージでプッシュし続ける。製品ページを見始めたら、自動的に別のストリームに移行して、今度はプッシュではなく詳細情報を提供していく、といった形です。
押久保:では、Bizoの買収によって加わったリード・アクセレレーターを含めて、リンクトインが提唱するBtoBマーケティングについて解説いただけますか?
バーディック:リンクトインは今、グローバルで3億8000万ユーザーを擁しています。ビジネスに特化したソーシャルメディアとして展開しており、経営層や、IT購買に影響があるユーザーも非常に多い。
これらのユーザーの中から適切なオーディエンスへディスプレイ広告などで接触してリードを発掘し、ナーチャリングを通して最終的な購買へとつなげるのが、一連のフローです。リード・アクセレレーターは、この最後の段階を担っています。
スケールとパーソナライズを両立、効果を最大化
バーディック:BtoBマーケターはともすれば、最後のコンバージョンの部分にのみ注目しがちです。それも大事ですが、最初からマッチングの高いオーディエンスへリーチして徐々にエンゲージメントを図り、効率的にコンバージョンを獲得しやすくするのが当社の考え方なのです。
具体的にはリード・アクセレレーターを含めて段階ごとに4つのソリューションがあり、加えて最も重要な効果測定サービスが全体を貫くようになっています。
押久保:各ファネルとソリューションがそれぞれひもづいて、全体で機能して成果を最大化する仕組みなのですね。では最後に、今後の展開をお教えください。
バーディック:最も注力しているのは、リードと情報との“Relevance”を高めることです。特に、まだ接触していない潜在顧客がどんなことに興味を持っているのか。それを、例えばリスニングや予測分析などから見つけて、自社とのエンゲージメントが浅いリードにも関連性の高いメッセージを届けられるようにしたいと考えています。
目指すのは、スケールとパーソナライズの両立です。アドテクは前者が、マーケティングオートメーションは後者が得意ですが、それぞれもう一方が弱い。リンクトインのマーケティング支援では、この両方を最大化します。どの段階でも最適なコミュニケーションを実現し、日本市場のBtoB企業の支援にも力を入れていきます。
そのために、パーソナライズしたアプローチをスケールさせることを考えています。高いパーソナライズを実現できますがスケールしづらいマーケティングオートメーションと、幅広い接触が可能だが、パーソナライズが難しいアドテクを融合させて、両方のメリットを得られるのが当社のBtoBマーケティング支援です。