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イベントレポート

データドリブンはここまで進んでいる! 先進企業4社が語る効果測定とデータ活用の重要性


数字の大切さを伝える2つの殺し文句

 パネルディスカッションの終盤では、Optimizelyの創立者でCEOのダン・シロカー氏と、日本で「Optimizely」を取り扱っているイー・エージェンシーの野口 竜司氏も登場し、「データドリブンしすぎて失敗したことは?」など、興味深い議論が交わされた。

押久保:まず、ここまでのパネルディスカッションから感じていることをお話ください。

シロカー:様々なデータドリブンの取り組みがなされているということでとても興奮しています。ツール選択については、TCO(Total Cost of Ownership)を考えないといけないと思います。ツール自体が安かったとしても、社内のリソースもかなり使うわけですから。それから、我々が関わった大手企業の場合、社内にテストチームがあったとしても、「Optimizely」を使うことでさらなるスピードアップが可能になりました。

金山:「Optimizely」は本当に凄いツールだと思っています。我々はネイティブアプリを主戦場としているわけですが、ネイティブアプリの改善サイクルというのは、皆さんが思っているよりかなり長いんです。リリースからユーザーに浸透するまで3週間はかかります。一つの施策をやっても、結果が出るのは3週間後です。最近の「Optimizely」はネイティブアプリのA/Bテストもできるので、サイトとアプリをワンストップで最適化できて、さすがにその点では自社開発ツールを使うよりも早いと思います。

Optimizely CEO ダン・シロカー氏(写真左)と株式会社イー・エージェンシー 取締役 野口竜司氏
Optimizely CEO ダン・シロカー氏(写真左)と株式会社イー・エージェンシー 取締役 野口竜司氏

野口:今日登壇していただいた方々はデータドリブンにおいてかなりの先行者だと思うのですが、逆にデータドリブンしすぎて反作用があったということがあったら、ぜひとも教えていただきたいですね。

奥谷:反作用というか、商売によると思うんですが、例えばデータドリブンですごい野菜が作れるかというと作れないですよね。データドリブンになったからといって、無印の商品が良くなるかといったらならないですよ。そもそも、その商品そのものが良くなければ売れないということがチャンスであり、リスクでもある。データを見てわかったから、それで意思決定して、この人にはこのクーポン送った方が良いとか、そこだけでCRMを進めて既存顧客やロイヤルカスタマーを食い潰すようなことだけは気をつけないといけないですね。

押久保:データドリブンしすぎて失敗って、金山さんは多分ないですよね?(笑)

金山:ないですね。データなしでは、何も決められないですよ。データがなければ、それはえいやで決めますが、その後のデータ収集は必ずやります。僕らの社員には女性が多いんですね。で、どちらかという数字が好きではないんです。そういう人たちに、どうやって数字の大切さを伝えるかは苦労してきましたね。そこに殺し文句が2つあって、一つは「データドリブンといっても現場でやっているのは簡単な四則演算だけだから、絶対できる」という優しい言い方。もう一つは、ちょっと脅しっぽくて、「わかった。もうデータや数字取るのやめよう。君の給料も“いっぱい”あげることにするよ。“いっぱい”で良いよね? 俺の“いっぱい”は5万くらいかな…」というもの。こう言うと、数字というものがコンテクストを排除した共通言語だということをわかってもらえるんですね。数字という共通言語を使うことで、コミュニケーションの速度や精度を上げられるんだから、みんなやりましょうという話です。

押久保:飴と鞭みたいですね(笑) 小川さんはどうでしょうか?

小川:気をつけないといけないことがあるとすれば、全体を見るようにすることです。一箇所を集中してやり過ぎたために全体の数値が下がってしまっていたとか、改善効率を落とすような状況にはまらないようにしなくてはなりません。ですから、時々、全体を俯瞰して、環境に変化がないかチェックしたり、今やるべきことを見極めるプロセスを失わないようにしないといけません。

シロカー:局所的にはここが最大だというところに行ったと思い込むことができますが、時々立ち止まってゼロからやり直すということは大事ですね。各論でうまくいったとしても、全体としてうまくいっていないというケースもあります。立ち止まることで、成果を全体に繋げることができます。

野口:データドリブンをやり始めた初期に、テストの結果、成果が出ないということはあり得ます。その段階でデータドリブンの道が絶たれるというのは、すごくもったいない。

シロカー:そもそも、Optimizelyを立ち上げたきっかけは、2008年のオバマ大統領の選挙キャンペーンで解析チームのディレクターを務めたからです。2012年の大統領選では、オバマ候補と対立するロムニー候補の両方が我々の解析ツールを採用しました。今行われている大統領選で民主党と共和党の候補みんながみんな、我々のプラットフォームを使ってくださっています。しかし、一人だけ使っていない方がいます……、ドナルド・トランプ氏です。

押久保:データドリブンに取り組みすぎてリスクが生じるということもなさそうですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/19 11:25 https://markezine.jp/article/detail/23461

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