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統括編集長インタビュー

A/Bテストの先駆者Optimizely、日本市場へ参入 加速するデータドリブンシフト

勘と経験から、データが示す事実に基づいた意思決定へ

押久保:なるほど。HiPPOとは、企業における鶴の一声みたいなものですね。

シロカー:そうです。もちろん、データを参照しても彼らの勘と経験が正しい場合もあると思いますが、そうでない場合もある。データドリブンになりきれない企業では、客観的な根拠なく、彼らの声ひとつでものごとが決まっていく傾向があります。

 一方で、データドリブンの文化が根付いて成果を上げている企業のボスたちは皆、いろいろな人の意見にオープンで、謙虚な人が多い印象です。彼らには以前の「答えを出す」ことから「質問をする」という役割を担い始めてもいます。こうなると、うまくいきます。

押久保:質問をするというのは、具体的にどういったことですか?

シロカー:上長として、チームが正しくデータを活用できているか、ツールが有効に機能しているかを随時質問し、データドリブンのマーケティングを主導する、という役割です。ツールを導入し、お金をかけてサイトリニューアルを行っても、データを参照していなかったり顧客の意見に耳を傾けなかったりしたら、成果は上がりません。

 旧態然の考えの人たちには、しばしば、自分たちの仕事がテクノロジーに取って代わられるのではないかという恐れが見受けられます。ですが私は、ITで担える部分を引き受けて、人でなければできない仕事により注力できるようにしてくれるのがテクノロジーだと考えています。恐れるには値しないのです。

編集部主幹でOptimizelyを採用したNYタイムズ

押久保:非常に示唆に富んだお話ですね。一般的なテクノロジー同様、OptimizelyもITやデジタル系の企業から広がっていったと思いますが、現在では非デジタル企業へも導入が進んでいるのでしょうか?

シロカー:そうですね。特に、2014年から一気に、トラディショナル企業のデータドリブンシフトが加速しています。2014年からOptimizelyを使っている企業の例でいうと、IBMや、NYタイムズがあります。両社とも、競合がよりデータに基づいた意思決定を取り入れ始めたので、危機感を持ってOptimizelyを導入したという経緯です。

押久保:NYタイムズですか、まさに伝統的なメディア企業ですね。ちなみにどの部署が、Optimizelyの導入を決定しているのですか?

シロカー:編集部です。きっと、ベテランのおじさんたちの意見も強い組織だと思うのですが、これは本当に大きなシフトだと思います。長らく、読者の反応を勘と経験で推し量ってきたメディア企業が、A/Bテストによってヘッドラインの見出しやコンテンツを最適化しているのです。Optimizelyを通して、ジャーナリズムの再定義をしているともいえるのではないでしょうか。

 これは今回の来日で知ったのですが、日本でも、紙の新聞のデジタル化が進んでいるそうですね。NYタイムズもデジタル媒体が主流になる中での必然的なデジタルシフトだったので、日本でも同じことが起こるかもしれません。

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A/Bテストの次は、パーソナライゼーション

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/12/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/23494

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