デジタル活用を推進する組織体制を強化

押久保:これまでお伺いしたコンテンツマーケティングなどの施策が取り組めているのは、組織体制が整っているからかと思うのですが、キリンの組織体制はどうなっていますか。
加藤:そうですね。デジタルマーケティング「部」になったのが今年の4月でした。私と同じタイミングで2人入社しています。上司も外資系企業から転職してきていて、新卒社員が多い当社にしては変わった組織ですね。
押久保:プロパー方との文化の違いを感じることはありますか?
加藤:前職が210年くらい続くメーカーで、メーカー独自の慣習には慣れている方ですね。ただ、やはり人数が多いので打ち合わせが多かったり、意思決定まで時間がかかることは、正直ありますね。
押久保:なるほど。岩田さんは、いろんな企業の体制を見てらっしゃる中で、キリンのような組織体制はどうですか?
岩田:すごく先進的だと思います。スタートアップの会社ならわかるのですが、大手企業で、デジタル領域の担当を複数名アサインしているケースは珍しいのではないかと。
押久保:そうですよね。大手企業さんがデジタル活用の組織体制を確立しようとしている、というのは、今回のテーマであるデジタルマーケティングの転換点を象徴しているのかなと感じます。
点ではなく線や面の発想を持ったマーケティングを
押久保:最後に、皆さんの今後の展開を教えてください。
岩田:社会のニーズにあわせて、提供しているサービスの効果の計測や活用法を変えていきたいと思っています。中でもポイントは3点あって、1つ目はこれまでの施策単位の評価から、複数施策をつなげた線や面、その動線の分析を行うこと。2つ目はオフラインも含めた効果測定を可能にすること。3つ目は、計測し蓄積したデータを可視化するだけでなく、分析を行いタイムリーに活用するかというマーケティングオートメーションの領域に参入していく。これらの3つを今後のサービス改善で反映していきたいです。
加藤:会社としては、CM・記事広告・オウンドメディアといったメディアの枠を超えて、一貫して比較、計測できるようにしたいです。私個人としては、今はデジタルマーケティング部ですが、デジタルと他のマーケティング施策を切り分けずに全体を俯瞰していけるような組織にしたいと思っています。
阿座上:当社では、商品をつくってお知らせして、顧客の声を集めていくミッションの中で、今後はコミュニティを作って顧客とどう結びつくかが一番重要になります。3つのオウンドメディアをイベントや紙媒体などにも広げて、各ブランドに還元していきたいです。
押久保:ありがとうございます。いろいろトピックが出ましたが、今後は点ではなく線や面のカスタマージャーニーがあって、CMやデジタルを分けずに連携させることが当たり前になると思います。このパネルディスカッションが、そういったマーケティングを実現、実行するためのきっかけになれば嬉しく思います。ご清聴ありがとうございました。