「ターゲットリーチ」の追求で、ROIが6倍に改善/ケロッグ社事例
男澤:ここで一つ、「ターゲットリーチ」を追求することで、どれほど広告費用対効果の改善を実現できるのか、わかりやすい海外事例を紹介します。グローバル規模でビジネスを展開するケロッグ社です。キャンペーン配信中の最適化でメリットを生み出すのに成功しました。ケロッグ社では弊社のアドベリフィケーションツールを活用して、デジタルキャンペーンのモニタリングを行い、メディアとメディアの枠、クリエイティブ別にインプレッションのターゲット到達率などを計測しました。

小林:分析項目にインプレッションのターゲット到達率(ターゲットリーチ)があるとは……。日本と全然違いますね。表内のデータから読み解くと、2はそれほどいい結果ではありません。広告主がターゲットとするユーザーをあまり含有しないメディアということですね。
インビュー率(viewable)で見ると2は高い数値ですが、3は2よりも低く、3割ほどがインビューではない、すなわちビューアブルな枠ではないとわかります。1は認知度を上げるのに貢献していますが、2と3はあまり変化が見られません。
こちらが「1インプレッションあたりのコスト」を導き出したレポートであるのに対し、日本ではインプレッションよりクリックやアクションばかりが、指標として注視されます。米国と日本はメジャメントへの意識の違いで、大きく開いてしまったのではないかと感じます。
男澤:このような改善を積み重ねていくことで大きな成果にたどり着くことが出来ます。弊社のデータを活用して配信中の最適化を行ったケロッグの2つのブランド(商品)について、マーケティング・ミックスのモデリング結果を見ると、デジタル広告のROIが5倍および6倍に改善していることがわかります。ビューアビリティのみに関連した結果として、ケロッグはキャンペーンのビューアビリティ率を40%改善することで売上を75%伸ばすことに成功しました。

男澤:ちなみに、補足しておくと、ケロッグのデータにボットなどによるトラフィック、いわゆるロボットであるトラフィックは含まれていません。これは当然で、米国ではノンヒューマントラフィックが排除されていないと有効ではない、とされます。日本はまだまだその手前にある。
小林:あたりまえのような話ですが、正しいデータを用いて、正しい分析をすることが今後ますます重要性を増してくると思います。「なにをもって正しいか」の検証はキーワードですね。もし仮にノンヒューマントラフィックを含んだまま分析していたら、まったく異なるアウトプットになっているはずですから。
「価値あるインプレッション」という新たな指標の重要性
小林:日本は未だデジタルの確かな指標を作れておらず、皆で変えていく必要があります。広告が正しいターゲットに届くだけで、後々評価が大きく好転するのは海外事例からも明らかです。広告主側にはアクション中心の指標の前に、「価値あるインプレッション=ターゲットリーチ」という指標を大事にすること、プラットフォーマー側には広告主の要望に応えられる配信を行うこと、今後も私たちはこれらを伝え続けていきます。
今回はアドフラウドの対策として実例を用いてアドベリフィケーションの重要さを伝えてきましたが、「ターゲットリーチ」を深掘りすると、避けられない議論として「なにゆえにそれが正しいターゲットリーチ」と言えるのか、という話になっていきます。これについては、また次回、「データクオリティ」をテーマにした回でお話していきます。お楽しみに!