ターゲットと目的でコンバージョン手法も変わる
さて、私たちはCVRを考えるとき、その売る、または申し込ませる商品/サービスの特性や目的の違いをどこまで考慮しているのでしょうか?
前ページで分析したように、売る(申し込ませる)商品/サービスによっても、その過程はまったく異なってきます。1万円のものなら一回の広告(DRA)で売れるかもしれませんが、1,000万円のものが広告一発で売れるとは誰も思わないでしょう。
さらにもうひとつ、忘れてはならない要素があります。それがオファーです。1988年に電通が出版した『ダイレクト・マーケティング サクセス』という古典的理論書に、このオファーについて詳しい記述がありますので、ちょっと抜粋してみましょう。その中で、アメリカのダイレクト・マーケティングの権威者エド・メイヤーという人が、面白い理論を唱えています。それが40-40-20のルールで、DRMの成功要素に関する配分率を表すものです。
・40%:オーディエンス(広告の受け手)である。受け手は選ばれなければならない
・40%:製品あるいはサービス、そしてオファー(提供できるサービスや特典)である。提供企業は知名度が高いほど客を引きつけやすいが、価格や取引条件、オファーでカバーすることも可能だ
・20%:クリエイティブである。メールの送付コストや見てくれ一切が含まれる
意外にもクリエイティブの評価が低いのです。作者の言葉を要約すると、「私たちはしばしば20%のクリエイティブを過大評価しがちだが、それは実は目に触れる氷山の一角に過ぎない。その大部分は主観的なもので、数値化は困難である。もっとも重要なことは、広告アプローチとして成功することであり、DRMの場合、それは間違いなく数字を獲得することだ」ということになります。つまり、CVR向上のためには20%のクリエイティブ以外の80%が大切なのです。
私たちのクライアントは、しばしば「掛けた分だけ数字を獲得したいのだ」と言います。しかし、その際の関心の矛先はなんとなくクリエイティブに向きがちではありませんか? そんなとき、このエド・メイヤー氏の言葉を借りれば、「我われはそのようなリクエストがあった場合には、まずターゲットは誰なのか、そしてそのターゲットにあった適切な媒体とオファーは何なのかを決める必要があると説明しなければならない」のです。
ただし、読者の皆さんが期待しているWebへの応用を考えると、最初の40%であるオーディエンスの選択は実現が難しそうです。ということで、もっとも注目すべきは、「オファー」ということになります。