結局は見込顧客に刺さるか、なのだ
前ページで、今時の消費者はコンバージョン時に無意識にオファーを求めていると書きました。実際、もしあなたの売りたい商品やサービスが、他でまったく入手できないオリジナリティの高いものならともかく、リテールというレベルなのであれば、競合との差別化を図るために何らかのオファーが必要なことは間違いないでしょう。
Webサイトも同じです。ユーザーは、常に自分に対する最上のサービスを求めてきます。私たちはその要望に応えていかなければなりません。前にも書きましたが、Webサイトを便利に、または楽しく見せるコンテンツや仕掛け…あらゆるキャンペーン、ディスカウントセール、クーポン、アフィリエイト、友だち紹介、返品無料、送料無料、ポイントの発行、ワンクリックセールス、インセンティブ、店舗優待などなど、アクイジションからコンバージョンへ至るテクニックに限りはないのです。
もちろん、レイアウトに工夫を凝らしたり、キャッチコピーを最適化したりするのも立派なオファーです。要するに、「コンバージョンさせるため」に、私たちは永遠に時代をキャッチアップし続けなければいけないのです。
ただし、誰も人のいないところで「ディスカウントだよ、安いよ!」と叫び続けても意味はありません。もし、何が何でもWebでコンバージョンさせたいのであれば、まず人(見込み顧客)を呼んでくること。そしてその人たちに、あなたのサイト(商品)の便利さ・リーズナブルさをタイミングよく理解してもらうこと…これに尽きます。Webそのもののコンテンツや機能は、この目的をトレースするものでなければ、意味はありません。
さて、この連載もそろそろ終わりに近づいてきました。はっきりと「DRMとはこういうものだ」と結論付けられてはいませんが、そのエッセンスは汲み取っていただけたのではないでしょうか。
今回はコンバージョンの話でしたが、実は筆者は、DRMとは結局「見込み顧客を見つけ出し、その人たちの心に刺さる表現」であり、「顧客により利便性の高い情報を提供するための装置」であると考えています。特に、Webマーケターである皆さんにとっては、前者の「見込み顧客に刺さる」ための要素が何であるか、何となくおわかりいただけたのではないかと思います。
要は、「期待以上の価値要素が目に見えていないと、人は動かない」という、ごく単純な話でしかなく、コンバージョンはその典型例だと言えるでしょう。
Webの世界における表現テクニックは、これからもすごいスピードで進化していくに違いありません。しかし、絶対に言えることは、いついかなる時であっても(アクイジションでもコンバージョンでも)、それを見る人間の心理と価値観を無視していては成功しない、という事実です。
オファーはその技術のひとつでしかありません。読者の皆さんには、何が「それを見る人間の心」に刺さるのかを、技術の高低に関わらず冷静な目で判断していっていただきたいと思います。
ということで、この連載も今回が最終回。約1年間、駄文にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。またどこかでお会いしましょう!