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働き方に、もっと、自由を!「WHEREから始める」という新しい働き方

「仕事を意図的に“東京偏重にならない”ようにする」福岡に住む、元博報堂・田村大さんの場合


仕事を意図的に“東京偏重にならない”ようにする

田村:福岡に来て感じたんですけど、ここは地に足が着いていて、身体感覚が感じられるなぁ、と思ったんです。土地固有性とそれに伴う文化、そして暮らしのリアリティがある。そして、そうやって相対化してみると、東京って職住ひっくるめてバーチャルな街だ、と思いました。

佐藤:その場合の“リアリティ”っていうのは、どんな感じですか?

田村:僕は、高校から東京に出てきて、その後もずっと東京がベースでした。だから、どこに住んでいるかリアリティを感じて生活をしたことがなかったんですね。例えば、僕はバルセロナが好きなんですけれど、あそこは旅行で行っただけでも、バルセロナとしか言いようのないものを感じるんです。“この街に住んでいる!”という感覚。日本にはないのかなぁ、と思っていたのですが、福岡にはそれがけっこう感じられるんですね。

田村:で、もし、今後福岡の仕事がなくなったとしても、ここに住んで、東京の仕事もし、海外の仕事をする、みたいなのも有りなんじゃないかと思うようになりました。仕事を意図的に“東京偏重にならない”ようにして、海外の都市を含むさまざまな場所と“等距離”を保ちながら、仕事ができるんじゃないか、と。

佐藤:なるほど、それは面白いですね。

田村:福岡在住のある起業家の方によれば、同じ労力をかけて仕事をするなら、東京よりシンガポールの方が、圧倒的に効率がいいと言うんですね。つまり東京だとコンペティティブ過ぎて仕事の成果にならないことが、シンガポールでは実現する。だから、東京で仕事することにこだわらない方が、かえって仕事がはかどるとも言える。“仕事と言えば東京”って、なんかちょっと気持ち悪い。“東京しかない”ではなく、さまざまな場所を飛びまわり、言ってみれば“受粉するミツバチ”みたいな存在になれたらいいな、と思っています。

イノベーション・スタジオ福岡の活動風景 (C)Re:public Inc.

福岡も東京も、働く場所は選択肢のひとつに過ぎない

佐藤:田村家の場合は希望して転勤したわけですけれど、“望まない転勤”を事実上強いられるケースも、一般的には少なくないですよね?

田村:そうですよね。僕は“つねに選択肢を持つ”ということが、とても大切だと思うんです。選択肢がないと、イヤなことでもやらざるを得ない。自分は、特に“福岡親衛隊”というわけではないんです。もちろんここでの生活や人間関係は気に入ってはいますけれど、ね。つまり、福岡も選択肢のひとつだし、そういう意味では、東京だって別に選択肢のひとつなんです。

佐藤:とても共感しますね。

田村:あとね、知人で、“キャリア・アップがあるならキャリア・ダウンもあるべきだ”と言ってる人がいるんですけど、僕もそう思います。美しくキャリア・ダウンするんだ、みたいな。そして、それは、40代からもう始まっているんじゃないか、と。

佐藤:なるほど。競争の激しい東京で、生き残り合戦から脱落しないように、必死に頑張るばかりが人生じゃないって、ことですね。

田村:その辺を意識しないと、60歳とか65歳で突然定年になって、ど~んとフォールしちゃう。美しいダウンがないまま、落っこちてしまうのは、上手くないんじゃないか。キャリア・フライトみたいなことを考えて、美しく降下したいな、という意識はあります。

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働く場所、暮らす場所としての福岡は?

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2016/02/25 18:14 https://markezine.jp/article/detail/23948

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