スクリーンの奪い合いを勝ち抜く
MZ:2015年は海外からSVODの参入が特に多かったと思うのですが、どういった理由があると思いますか。
山内:競合企業の参入が相次いだのは、市場拡大の可能性があると他の企業も考えているからだと思います。弊社がリニューアルを仕掛けたのも同じ理由です。ただ、根本的にはスマートフォンの普及が一因ではないでしょうか。動画をモバイル端末で見られるようになっていったことが大きいです。
また、2時間の映画をスマートフォンで見ることは、大型化が進むディスプレイをもってしても難しいのが現状です。そこで進んでいるのがTVの無線化ですね。TVがインターネットに繋げられるようになったことで、インターネット上の動画をテレビで見られるようになったのはとても大きいですね。
MZ:動画を見られる環境の圧倒的な進化が理由となっているのですね。
山内:はい。そして、1つ忘れてはいけないのが、競合はSVODだけではないということです。人の可処分時間の使い方は多様化し、ゲームアプリやSNSといった用途でもスクリーンは占有されます。テレビも同様ですが、多様化した選択肢の中でユーザーに選んでもらえるよう、サービスの改善を行っていかないといけません。
そのために、すぐコンテンツと出会えるようレコメンドを強化したり、また2倍速での再生やダウンロード再生にも対応しています。これもできる限りコンテンツを見てもらうための工夫です。

2020年にはNo.1に
MZ:業界に色々なプレーヤーが出てきていますが、どういった立ち位置を狙いたいかを教えてください。
山内:現在レンタル事業でいえば、地位が確立できているという自負があります。そして、今後は配信といえば「TSUTAYA TV」と思ってもらえるようなサービスを作り上げていきたいですね。目標としては2020年に1位のサービスになることです。
MZ:そのために考えている施策はありますか。
山内:短期的な施策としては、Filmarksの利用を推進したいですね。このサービスの面白いところとして、お気に入り登録した作品が配信、レンタル可能になったらプッシュ通知が届く機能を搭載しています。最近上映された映画は当然ながらすぐ配信、レンタルできませんよね。そして映画は公開前、公開時はプロモーションも多く打たれるため、レンタルや配信が始まっている頃には忘れてしまう方が多い。
そこでプッシュ通知をかけることで、「そういえば見たいと思ってたんだ」とリテンションを図ることができる。そして、店舗・宅配レンタル、動画配信など、どのチャネルを使うかはユーザーが選択してもらえる環境を構築します。このように、全ての事業にとってプラスになるよう進めていきたいです。
MZ:長期的に考えている施策はありますか。
山内:実をいうとありません(笑)。ただ、5年前から今を予測できた方はそういないのではないでしょうか。そのため、私は予測することよりも、変化に素早く対応する方が重要だと思っています。今後もCCCグループのリソースを最大限活用して、市場の変化を確実に読み取り、施策に反映したいですね。