コラボ先に「ソードアート・オンライン」を選んだ理由
ネットワークやテクノロジーを題材に取り入れた作品は多い。その中でも、今回なぜ「ソードアート・オンライン」をコラボ先に選んだのだろうか。
日本IBMでは、ブランドのヘルスモニタリングチェックを行っており、ブランド認知拡大の必要性の高いターゲットとして若年層のエンジニアがあがってきたという。そして、そのターゲット層に人気がある作品が「ソードアート・オンライン」だったのだ。さらに周到なリサーチを重ね、実際のファンの声からも「ソードアート・オンライン」のファンにはテクノロジーが好きな方が多いという事実を確認したそうだ。

マーケティング&コミュニケーション コミュニケーション&ブランドエクスペリエンス
(広告宣伝・広報・デジタルマーケティング・社会貢献)
本部長 山口有希子氏
また、IBMのクラウド・サービス「SoftLayer」が世界最大級のオンラインゲームに採用されてきたということも関係している。「SoftLayer」が未来のゲームにも使われるプラットフォームとして見せられるという意図もあったのだ。
広告予算を投下せずに大きな反響を呼ぶ
人気作品とのコラボを成功させるためには、ファン層を含めた世界観の理解が欠かせない。そのため、今回のイベント企画では、原作者の川原礫氏やKADOKAWAはじめ協力企業が一丸となって、一つのチームとなってプロジェクトを実現していったという。そして、積み重ねた対話と努力が、イベントへの大きな反響として実りを結んだのだ。
実際にイベントに参加できたのはわずか208名だけであり、日本IBMではイベントに来られなかった方にもその体験を共有できる情報を発信していくようだ。
冒頭で述べたとおり、日本IBM Twitterアカウントのイベント告知の2つのツイートは、リツイート数が計3万以上、インプレッション総数は350万を超えた。イベント開催を経て、さらに反応が広がっていくことは間違いない。これだけ大きな反響がありながら、今回、日本IBMではSNSへの広告予算は投入していないのだ。
従来のマス広告とはまったく異なるアプローチで、確実にブランド認知を広げることができたというわけだ。山口氏は「マス広告ではできないのが“体験”であり、今後のマーケティングではブランドエクスペリエンスが重要になってくる」と強調した。
「最も変化していくのはユーザーです。マーケターはその変化に寄り添っていく必要があるでしょう。世の中の変化に柔軟に適応し、常に新しいマーケティング手法をとっていきたいと思います」(山口氏)