「LINE応募」が広げるバリューの幅とは?
バリューの幅を広げるための仕掛けとして顕著な機能が「LINE応募」だ。応募から採用までのコミュニケーションをLINEで取ることで、採用期間は短縮し、面接率が約2倍、採用率が約2.5倍に跳ね上がった。バイトの採用は平均2週間ほどかかるが、最短1日で採用したケースもあるという。

「なぜ面接率や採用率が向上したかを考えると、LINEでやり取りをすることでお互いに雰囲気や人となりを理解できるからだと考えています。コミュニケーションが、ある意味で面接をしているようなものでしょう」(上土氏)
もちろん、応募側にとってもメリットがある。LINEで求人情報を探すユーザーがアプリを切り替えることなく、そのままLINEで応募ができるという流れ自体が既に自然なものだ。
「従来は電話かメールからの応募がほとんどでしたが、LINEだと既読が付くため、メールと違って読まれていることがわかるし、見落としがなくなるという声もいただいています。また、一度LINEでやり取りした後ならば電話にも安心して出られるといった意見もあります。総じて、これまで発生していた連絡の行き違いや気まずい思いを解消できているのです」と上土氏。採用企業からも、電話に出てもらえる率が格段に上がったといった声が聞こえているという。
サービス側が情報を提供すべき
提供価値の2つ目、マッチングについて「今の仕事探しのマッチングの在り方は不完全だと考えています」と上土氏は語る。
若年層を中心に多くの求職者は自分の見たことのある・知っている、想像の範囲だけで仕事を探しがちだ。言い方を変えると、自分自身がどのような仕事につけば活躍できるかを知らないケースが多い。
さらに、現在の仕事探しはキーワードを打ち込み検索する方法が主流だ。限られた自分の世界の、さらに言語化できるものだけに絞って、表示された求人情報から選択している状況なのだ。
「サービス側からもっと「あなたが活躍できそうな仕事がありますよ」と、利用者各人に情報を提供し、企業と個人をマッチングできればと考えています。LINEと組むことで、現在のマッチングの在り方を変えていきたいのです」(上土氏)
法人もLINEに慣れる必要がある
確実な成果を出しているLINE応募だが、この機能はサービスインから半年後に提供が開始された。話を聞く限り、「LINEバイト」の中核を担う機能であることがうかがえるが、なぜ後追いのローンチになったのだろうか?
理由の一つに、LINEでのバイト探しというサービスが成立するか先に反応を見たかった点があげられる。加えて、法人サイドがLINEでのコミュニケーションに慣れる必要があった点がある。
「LINEでのコミュニケーションは、ユーザーにとっては身近で使いやすい。しかし応募のやり取りは企業と個人のインタラクティブ性が求められます。企業側が使いこなせないと意味がありません」(上土氏)
いくら利用者がLINEから応募をしても、企業からの反応が遅ければ本末転倒だ。企業側はLINE@を導入して、コミュニケーションを成立させるための体制が必要になる。では、企業はこのハードルをどのようにクリアしているのだろうか。
「LINEのサポートデスクもありますし、インテリジェンスの担当営業もフォローをしています」と上土氏。そもそも、成功報酬型ではなく広告モデルのビジネスを提供しているため、企業と営業のリレーションは取れている。そこでLINEの使い方もフォローしているという。