顧客価値評価で先行する各社の事例
Starbucks(飲食チェーン)
これまで会計の度に付与されていたポイントを、支払金額に応じたポイント付与に変更。つまり、ロイヤルティプログラムの変更を実施しました。ここからは顧客の支払金額やインパクトを理解し、取引履歴から顧客に創造している本当の価値がどれくらいか考えなければならないということがわかります。
dressbarn(ファッション系EC)
カタログで購入している顧客は顧客価値が低いことが分かったため、カタログ販売を中止しました。「誰に販売するのか」という点で、より選択的になることができます。すると、顧客価値を高い水準で安定させることができるのです。
Electronic Arts(ゲーム)
約10億ユーザーについて、ゲームタイトル、利用時間、課金状況などを毎日分析し、Customer lifetime value(顧客生涯価値、以下、CLV)の推定を非常に高いレベルで実施しています。一般的な顧客ではなく特定セグメントのターゲティングなので、Facebook広告に多くの予算を割き効果を上げているそうです。
Merial(動物用医薬品メーカー)
営業担当の報酬インセンティブ制度を「過去に売った価値」ではなく「将来もたらす価値」に連動するよう変更を行いました。もちろん、そのための教育も大切です。営業担当は、CLVについて理解し、この方針の重要性や何故報酬制度として優れているのかを教え込まれました。
Rising Tide Games(ゲーム)
ユーザーが、いつ、どれだけの時間と金額を費やしているか分析した上で、CLVの見通しを推定して実績と比較しています。Rising Tide Gamesはソーシャルゲームを提供するZyngaに買収されましたが、その後でも同社のCLVモデルが活用されています。
マーケターはテクノロジーを受け入れ、使いこなす能力が必要
最後に、Peter Faderは自身もCo-Founderとして参画しているZodiacのサービスの紹介をしてくれました。これは企業のトランザクションデータを投入するだけで、CLVの評価結果を企業のCRMに戻せる「CLVのリアルタイム更新」などの機能を持ち、少人数でのマーケティング活動(リード獲得の最適化、維持、資源再配分)の実施を可能とするソリューションです。
テクノロジーは我々のインサイトを得るための解決策ですが、一般的なマーケターもそれを受け入れ、使いこなす能力が必要であると説いて、彼は講演を終えました。顧客価値評価について、みなさんも一度考えてみてはいかがでしょうか?
次回は、マーケティングにおけるビッグデータ活用をテーマにしたセッションについてレポートしたいと思います!