テレビCMによって電話流入やサイト流入がどう変わるか
MZ:オンラインだけでなく、電話や対面などオフラインを含めたオムニチャネル化と、さらにはBtoC、BtoBをまたいだデータ連携をお考えなのですね。直近の取り組みなどをうかがえますか?
久松:4~5月、名古屋と福岡でテレビCMシリーズ「話せるのはHOME’S」を放映しました。これによる電話やサイト流入の増加、またメッセージがユーザーに伝わっているのかなどの結果を、カスタマージャーニーの把握やオンライン・オフラインの最適な連携に活かしているところです。
MZ:カスタマージャーニーの可視化やチャネルをまたいだ効果測定は、まさにマゼランが得意とするところですね。どういったツールなのか、詳しくお聞かせいただけますか?
平尾:マーケター向けに特化した分析ツールで、今まさに久松さんが言われたような「オンライン・オフラインを統合した全体最適化」のために、施策間の連動を可視化したり、マスを含めた広告の間接効果や外部要因の影響を加味したデジタル運用のダッシュボードを提供しています。
MZ:デジタル領域では、どうしてもCPAや最終的なコンバージョンでのみ施策を評価することが常でしたが、カスタマージャーニーを考えると、CPAやCTRだけでは最適な施策やROIの判断ができないという課題がありますよね。
平尾:ええ。私たちもマゼランの開発にあたり、さまざまな企業のマーケティング部門にヒアリングしてきましたが、先進企業ほどオンライン・オフラインを統合した全体最適に課題を抱えていました。
また、状況を即確認しチューニングしていけるリアルタイム性も、非常に重要です。2カ月前の状況を可視化できても意味がないので、マゼランでは各施策の結果をリアルタイムで確認して高速PDCAを回せる点にこだわりました。
全体が可視化されると業務の評価も変化する
久松:今の時代、たしかにスピードはとても大事だと思います。今まで60日かかっていたのが、その日にデータを得られるというのは衝撃的です。ROIがすぐに可視化できると、予算の最適配分の判断も速くなりますね。
平尾:ええ、ツールで日々回っているので、予実管理もリアルタイムで行えます。分析結果を元にした、予算内での最適なアロケーション提案も実装しています。もちろん、去年と今年を比較するといった長期的な使い方も可能です。
現在は、主に運用業務を担当している現場のマーケターが利用しているツールですが、私たちとしてはマーケターでも特に、マネージャークラスの方々に有効活用していただきたいと思っているんですね。目の前の部分最適化をしなくてはならなくても、今どうなっているのかという全体観を持った上で取り組んでいただけたらと思っています。
久松:マネージャークラスが全体観を持つのは大事ですよね。現場も、ラストタッチだけをミッションに評価されてしまうと、全体の中でどう貢献しているのかが見えず、モチベーションの低下にもつながってしまいます。
KPIのひとつにCPAがあるのは同じでも、実際に一連のカスタマージャーニーに対する貢献度が間接効果を含めて可視化できると、評価も変わってきます。
我々は社内で「広告セントリック」と呼んでますが、これまでは「この広告が効いたかどうか」を主に評価してきました。この評価の考え方を、どうにかしてユーザー起点に移せないか、社内で議論しているところなんです。
平尾:その取り組みは、ぜひ一緒にやらせていただきたいですね。PRや休眠発掘の効果も加味して、ユーザーのLTVまで捉えるのが理想だと思っています。