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マーケティング全体最適を実現する「マーケティング・ミックス・プラットフォーム」(PR)

不動産サイト「HOME’S」が取り組む、マーケティング施策と人材の全体最適化

 デジタル領域を中心に、マーケティングに活用できるさまざまなツールが次々と登場している今、企業にはそれらを使いこなしてマーケティングの最適化を図ることが求められている。マスとデジタルを横断してROIを判断し戦略を策定する、決して容易ではない取り組みに、先進企業はどう向き合っているのだろうか? 不動産サイト「HOME’S」のマーケティングを統括するネクストの久松洋祐氏と、デジタル・マス施策の全体最適を日々の運用に落とし込むソリューション「XICA magellan」を展開するサイカの平尾喜昭氏との対談から、そのヒントを探る。

オムニチャネル化を推進する「HOME’S」

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、マーケティング先進企業として不動産サイト「HOME’S」で知られるネクストの久松さんをゲストに迎え、サイカの平尾さんとともに、広告・マーケティングにおける全体最適の考え方や施策の成果をうかがいます。7月4日に矢野経済研究所が発表した『広告効果測定のためのデータ活用に関するアンケート調査』でも、データ分析・活用のニーズが高いことが示されており、全体最適へのニーズも高まっていると感じます(参考情報)。まずお二方から、現在の業務や取り組みを紹介いただけますか?

株式会社ネクスト HOME’S事業本部 マーケティング戦略部長 久松洋祐氏(写真右) 株式会社サイカ 代表取締役CEO 平尾喜昭氏(写真左)
株式会社ネクスト HOME’S事業本部 マーケティング戦略部長 久松洋祐氏(写真右)
株式会社サイカ 代表取締役CEO 平尾喜昭氏(写真左)

久松:ネクストにて、「HOME’S」事業のマーケティング戦略を統括しています。私たちは今まさに、オムニチャネル化に取り組んでいます。これまでオンライン中心にサービスを提供してきましたが、電話相談、および対面でのチャネルを強化している最中で、これらのデータ連携を通して統合したCRMの構築が目下の課題です。対面のチャネルは、秋以降に店舗を開設し、今後全国的に展開させていくことを目指しています。

事業戦略説明会資料より抜粋して掲載
事業戦略説明会資料より抜粋して掲載

 同時に、これらがつながった上で有効なKPI設定や、コミュニケーションを継続できるメールマーケティング、またWebマガジン「マドリーム」の運営をはじめとするコンテンツマーケティングなどにも力を入れています。

平尾:サイカは統計分析ソリューション「XICA magellan」(以下、マゼラン)を軸に、広告・マーケティング領域の全体最適化を支援しているベンチャー企業です。3月には電通および電通デジタルホールディングスと業務提携し、マス広告や外部環境の変化を加味したデジタルプロモーションの最適化や、各企業に対するオンライン・オフライン統合型運用の内製化にますます注力しているところです。

BtoC、BtoB事業双方のデータ連携を推進

MZ:久松さんはHOME’S事業の全体をご覧になっているとのことで、御社における不動産事業の位置づけと、中長期的な戦略について少しうかがえますか?

久松:当社は元々「不動産産業を変革する」ことをビジョンとして掲げています。この業界は買い手・借り手である一般ユーザーにとっては分かりにくいことが多く、情報の網羅性や透明性の点で不利になりやすい傾向があります。その点を、情報を可視化することで変革し、同時に提携する不動産会社やリフォーム会社、引っ越し業者など事業者の業務効率の向上も図って、不動産市場を活性化し拡大していくことを目指しています。

事業戦略説明会資料より抜粋して掲載
事業戦略説明会資料より抜粋して掲載

 中長期的には、グローバル展開を視野に入れているのですが、ネクストも「HOME’S」もグローバルでは同名企業やブランドがすでにあったため、実は来春に社名をLifull(ライフル)へと変更する予定なんです。

平尾:それは大きなご決断ですね!

久松:ええ、ちょうど先の6月の株主総会で発表したところです。今後は、ある程度浸透している「HOME’S」を軸に、Lifullとうまく連動させる形で、Lifullとしてのブランド確立に取り組んでいきます。

平尾:先ほど挙げられた事業者の業務効率向上とは、具体的にはどういったことですか?

久松:オンラインでの重要事項説明やクレジットカード決済、VRによる内見といった仕組みの構築などですね。ユーザーの、比較から検討、成約、引っ越しといったカスタマージャーニーにおける各接点でのニーズと、事業者のオファーをマッチングさせるのがHOME’Sというイメージです。最終的にはBtoCとBtoB両方のデータ連携を推進するつもりです。

テレビCMによって電話流入やサイト流入がどう変わるか

MZ:オンラインだけでなく、電話や対面などオフラインを含めたオムニチャネル化と、さらにはBtoC、BtoBをまたいだデータ連携をお考えなのですね。直近の取り組みなどをうかがえますか?

久松:4~5月、名古屋と福岡でテレビCMシリーズ「話せるのはHOME’S」を放映しました。これによる電話やサイト流入の増加、またメッセージがユーザーに伝わっているのかなどの結果を、カスタマージャーニーの把握やオンライン・オフラインの最適な連携に活かしているところです。

MZ:カスタマージャーニーの可視化やチャネルをまたいだ効果測定は、まさにマゼランが得意とするところですね。どういったツールなのか、詳しくお聞かせいただけますか?

平尾:マーケター向けに特化した分析ツールで、今まさに久松さんが言われたような「オンライン・オフラインを統合した全体最適化」のために、施策間の連動を可視化したり、マスを含めた広告の間接効果や外部要因の影響を加味したデジタル運用のダッシュボードを提供しています。

MZ:デジタル領域では、どうしてもCPAや最終的なコンバージョンでのみ施策を評価することが常でしたが、カスタマージャーニーを考えると、CPAやCTRだけでは最適な施策やROIの判断ができないという課題がありますよね。

平尾:ええ。私たちもマゼランの開発にあたり、さまざまな企業のマーケティング部門にヒアリングしてきましたが、先進企業ほどオンライン・オフラインを統合した全体最適に課題を抱えていました。

 また、状況を即確認しチューニングしていけるリアルタイム性も、非常に重要です。2カ月前の状況を可視化できても意味がないので、マゼランでは各施策の結果をリアルタイムで確認して高速PDCAを回せる点にこだわりました。

全体が可視化されると業務の評価も変化する

久松:今の時代、たしかにスピードはとても大事だと思います。今まで60日かかっていたのが、その日にデータを得られるというのは衝撃的です。ROIがすぐに可視化できると、予算の最適配分の判断も速くなりますね。

平尾:ええ、ツールで日々回っているので、予実管理もリアルタイムで行えます。分析結果を元にした、予算内での最適なアロケーション提案も実装しています。もちろん、去年と今年を比較するといった長期的な使い方も可能です。

 現在は、主に運用業務を担当している現場のマーケターが利用しているツールですが、私たちとしてはマーケターでも特に、マネージャークラスの方々に有効活用していただきたいと思っているんですね。目の前の部分最適化をしなくてはならなくても、今どうなっているのかという全体観を持った上で取り組んでいただけたらと思っています。

久松:マネージャークラスが全体観を持つのは大事ですよね。現場も、ラストタッチだけをミッションに評価されてしまうと、全体の中でどう貢献しているのかが見えず、モチベーションの低下にもつながってしまいます。

 KPIのひとつにCPAがあるのは同じでも、実際に一連のカスタマージャーニーに対する貢献度が間接効果を含めて可視化できると、評価も変わってきます。

 我々は社内で「広告セントリック」と呼んでますが、これまでは「この広告が効いたかどうか」を主に評価してきました。この評価の考え方を、どうにかしてユーザー起点に移せないか、社内で議論しているところなんです。

平尾:その取り組みは、ぜひ一緒にやらせていただきたいですね。PRや休眠発掘の効果も加味して、ユーザーのLTVまで捉えるのが理想だと思っています。

半年でじわじわと向上した店頭ステッカーの効果

久松:結局、一つひとつの施策のリターンではなく、結果的に年間どのくらいの予算を費やして何を得たのか、それが見合っていたかどうかが分からなければ、次の戦略も立てられませんよね。

 その点で最近興味深かったのが、先ほどお話したテレビCMと、昨年末から展開していた販促ステッカーの効果の比較です。昨年末、提携する全国の不動産会社さんへ「HOME’S」のステッカーをお送りし、店頭での掲出をお願いしました。そして度々そのステッカーの視認度調査をしたのですが、はじめこそあまり認識されていなかったものの、約半年経って「見たことがある」という数値が高まってきました。

平尾:なるほど。ステッカー掲出も、半年を経るとブランドリフトに寄与していたんですね。まさにCPAだけでは分からない世界観です。この1~2年でカスタマージャーニーの考え方も浸透してきましたが、久松さんは以前から考慮されていたのでしょうか?

久松:着目したのは7年前くらいになると思います。ただ、当時はジャーニー自体を描けても、接点ごとに最適な施策を見極めて実践したり、それを評価したりするまで至りませんでした。それが今では、環境やツールの面でも整ってきて、できるようになってきました。

 もちろんユーザーのメディア接触もさらに複雑になり、難しさも増していますが、改めてユーザーの動きを俯瞰して、理想的な関係を構築することを目指しているのが現状です

マーケターには“変わり続ける”スタンスが必要

MZ:先ほど人材評価の話も挙がりましたが、環境が複雑化する中で、やはり最終的には人の問題だという話もよく耳にします。

久松:カスタマージャーニーにおける各接点を評価できると、それはおのずとそれぞれを担当する人材の評価にも影響しますね。事業としては、ユーザーとのあらゆる接点と時間軸を加味して、どのようにブランドリフトしていくのかを導き出したい。そして、それを実現するためには予算だけでなく、最適な人材の配置や組織編成も不可欠になってきます。“ヒト・モノ・カネ”のすべてを考える必要があるわけですね。

平尾:なるほど。久松さんは、これからのマーケターに必要なスキルセットをどのようにお考えですか?

久松:少し大きな話ですが、マーケターには“変わり続ける”スタンスを求めています。状況は刻々と変わり、半年前には頓挫したことも今ならできる可能性があるので、柔軟な姿勢が大事だと思います。同時に、やはりチームの一員として事業に携わっているので、アイデアを出すことにとどまることなく、継続的にヒットが生まれるように仕組み化を考えていってほしいですね。

MZ:お二人とも、ありがとうございました。最後に、自社の今後の展望をそれぞれうかがえますか?

久松:まずは来春の社名変更を見越して、ブランドを早急に立ち上げることが目標です。そのために、今以上に予算や施策、人材の最適配分を考えなければと思っています。KPI設定や適切なツール活用も含めて、スピード感を持って取り組んでいきたいです。

平尾:サイカとしては、まだマゼランを世に送り出したばかりなので、これから一人でも多くのマーケターの方々に寄り添い、サービス改善を続けていくことで、“データの可能性を引き出し、市場環境が変わっても柔軟に、かつ逞しく対応できるマーケター”のマストツールへと進化させていきます。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/12 12:57 https://markezine.jp/article/detail/24895