オムニチャネル化を推進する「HOME’S」
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、マーケティング先進企業として不動産サイト「HOME’S」で知られるネクストの久松さんをゲストに迎え、サイカの平尾さんとともに、広告・マーケティングにおける全体最適の考え方や施策の成果をうかがいます。7月4日に矢野経済研究所が発表した『広告効果測定のためのデータ活用に関するアンケート調査』でも、データ分析・活用のニーズが高いことが示されており、全体最適へのニーズも高まっていると感じます(参考情報)。まずお二方から、現在の業務や取り組みを紹介いただけますか?
久松:ネクストにて、「HOME’S」事業のマーケティング戦略を統括しています。私たちは今まさに、オムニチャネル化に取り組んでいます。これまでオンライン中心にサービスを提供してきましたが、電話相談、および対面でのチャネルを強化している最中で、これらのデータ連携を通して統合したCRMの構築が目下の課題です。対面のチャネルは、秋以降に店舗を開設し、今後全国的に展開させていくことを目指しています。
同時に、これらがつながった上で有効なKPI設定や、コミュニケーションを継続できるメールマーケティング、またWebマガジン「マドリーム」の運営をはじめとするコンテンツマーケティングなどにも力を入れています。
平尾:サイカは統計分析ソリューション「XICA magellan」(以下、マゼラン)を軸に、広告・マーケティング領域の全体最適化を支援しているベンチャー企業です。3月には電通および電通デジタルホールディングスと業務提携し、マス広告や外部環境の変化を加味したデジタルプロモーションの最適化や、各企業に対するオンライン・オフライン統合型運用の内製化にますます注力しているところです。
BtoC、BtoB事業双方のデータ連携を推進
MZ:久松さんはHOME’S事業の全体をご覧になっているとのことで、御社における不動産事業の位置づけと、中長期的な戦略について少しうかがえますか?
久松:当社は元々「不動産産業を変革する」ことをビジョンとして掲げています。この業界は買い手・借り手である一般ユーザーにとっては分かりにくいことが多く、情報の網羅性や透明性の点で不利になりやすい傾向があります。その点を、情報を可視化することで変革し、同時に提携する不動産会社やリフォーム会社、引っ越し業者など事業者の業務効率の向上も図って、不動産市場を活性化し拡大していくことを目指しています。
中長期的には、グローバル展開を視野に入れているのですが、ネクストも「HOME’S」もグローバルでは同名企業やブランドがすでにあったため、実は来春に社名をLifull(ライフル)へと変更する予定なんです。
平尾:それは大きなご決断ですね!
久松:ええ、ちょうど先の6月の株主総会で発表したところです。今後は、ある程度浸透している「HOME’S」を軸に、Lifullとうまく連動させる形で、Lifullとしてのブランド確立に取り組んでいきます。
平尾:先ほど挙げられた事業者の業務効率向上とは、具体的にはどういったことですか?
久松:オンラインでの重要事項説明やクレジットカード決済、VRによる内見といった仕組みの構築などですね。ユーザーの、比較から検討、成約、引っ越しといったカスタマージャーニーにおける各接点でのニーズと、事業者のオファーをマッチングさせるのがHOME’Sというイメージです。最終的にはBtoCとBtoB両方のデータ連携を推進するつもりです。