広告配信から成約、アフターまで一貫したプロセスを実現するCapital One
中小企業向け融資事業を展開するCapital One社は、自社のCRMデータを活用してソーシャル広告を展開し、新規顧客獲得から商談のクロージング、その後のマーケティングプロセスまでをセールスフォースのプラットフォーム上で実現している。
具体的には、自社の既存顧客データの属性を基に、Advertising Studioを使ってFacebook広告の類似オーディエンス(Lookalike Audience)機能で精度の高いオーディエンスを抽出し、広告を表示するというもの。このとき、Facebookのプロフィールに「中小企業経営者」とあるユーザーにも配信対象を広げるといった設定を行えば、より広い層にアプローチすることができる。
Advertising StudioはFacebookと連携できるため、見込み顧客に登録を促す際も、Facebookのプロフィールを参照することで入力項目を削減できる。これにより、見込み顧客の離脱を防げるわけだ。
また、広告からの見込み顧客の情報は、すぐに営業支援システムであるSales Cloudおよび、B2B向けマーケティングオートメーションツールのPardotと連携。現場のバンカー(営業担当)はそのデータを元に商談をクロージングする。さらにクロージングした情報はMarketing Cloudに連携されるため、交渉が成立した見込み顧客は「広告配信除外リスト」に指定され、代わりに「類似オーディエンス」に登録される。これにより、すでに顧客となったユーザーに何度も同じ広告が表示されることを防げるという。
笹氏は「企業側にとってはソーシャル広告ならではのメリットを活かし、コンバージョンを促すことができるほか、新規顧客にとっては必要な商談やサービスを迅速に受けられ、かつ広告が二度と出ないというメリットがあるのです」と説明する。
「顧客の時代」の覇者が次の時代の勝者となる
成熟した消費社会では、企業ではなく、まず市場から変革が始まるといわれる。商品開発にしても、「出せば売れる」という時代ではなく、マーケットインという転換が必要だ。ましてマーケティングプロセスが顧客中心でなければ、ビジネスの継続は保証できない状況だ。
その一方、個々に異なる消費者のニーズや声に真摯に応えるには、膨大な工数を必要とする。セールスフォースが掲げる「顧客の時代」というテーマは、すべての事業に共通するテーマであり、この時代のマーケティングをいかに効率的に、効果を最大化するかが、次の時代の勝者を決めるポイントになるだろう。