顧客視点のコミュニケーションへ変革を遂げる方法とは?
続いてサンリオと三井住友カードが登壇、取り組みとビジョンを紹介した。両社の共通点は「顧客とのコミュニケーションを改革する」ためにMarketing Cloudを採用したことだ。
根強いファンとの三世代にわたるお付き合いを、サンリオの変革
キティちゃんなどのキャラクターで有名なサンリオは、ギフト製品の企画・開発・卸売・小売を中心に、キャラクターライセンスの販売やテーマパークなど幅広い事業を展開している。同社の事業力の強さの根源は、根強いファンを持つキャラクターを抱えていること。その強みを、田口氏は「祖母・母・娘と世代にまたがって愛される『三世代キャラクター』という言葉が示しています」と表現する。
そんな同社ではSNSやメールなど様々なチャネルで顧客とのコミュニケーションを行ってきた。だが、ある課題も持っていた。「年々広がり続けるチャネルを一度整理し、お客様一人ひとりとのつながりをより丁寧で強いものにしたいと考えました」と田口氏。
そこで、Marketing Cloudを導入。かつては一律の内容だったメールを顧客ごとに変えるなど、パーソナライズされたコミュニケーションへと変革した。
お客様の反応が変化のきっかけになった、三井住友カードの施策
「これまではキャンペーンメールやお知らせを、企業目線で案内していました。それを、Marketing Cloudを活用して、お客様のそれぞれのニーズに沿って案内する方法へ変えることにしました」と語るのは三井住友カードの佐々木丈也氏だ。
同社が顧客中心のコミュニケーションへと方向を転換するきっかけとなったのは、顧客のオプトアウトやメールに対する反応の低下だったという。
「Marketing Cloudを導入し、現在は『どれだけお客様の気持ちに寄り添えるか』という視点を重視するようになりました」と佐々木氏。短期的な収益ではなく、エンゲージメント強化に向け、ダイレクトメールやWebを含め、あらゆるチャネルで顧客中心主義を実現したいと意欲を見せる。
年間2万件超のメールキャンペーンを5人で運用するFanatics
では、海外ではどのような動きがあるのだろうか? 紹介された米国の活用例からは、カスタマージャーニーの確立はもちろん、それを「どう効率化するか」という一歩先の視点でセールスフォースのソリューションを活用している様子がうかがえた。
Fanatic社は、大学バスケや野球、アメフト、プロリーグのユニフォームやグッズを扱うECサイトを運営する。300ブランドにまたがる2万7000件のメールキャンペーンや、年間40億通のメールによるコミュニケーションを行っているが、わずか5人のマーケターで運用しているという。その膨大なマーケティング活動を支援しているのがEmail Studioだ。
Email Studioは、キャンペーンメールの制作、配信、効果検証にあたり、作業量を削減しつつ効果最大化を図る機能が多種実装されている。メール作成テンプレートの管理やフィルタリング検索機能に加え、ルールベースによるレコメンドから、予測エンジンによるお勧め商品の動的生成、また個々人の居住地や保有ポイントを自動表示するスクリプト埋め込みなど、多様なコンポーネントを備えており、莫大な数のキャンペーンメールを効率的に作成できるという。
また、配信対象となるオーディエンスデータの指定や、配信排除設定なども柔軟に対応できるので、顧客の感情を害することもない。加えて、Marketing Cloudのモバイルアプリを利用すれば、休日や外出中でもキャンペーンの効果を確認し、上司に報告できるという。これにより同社では、メール1通配信するコスト1ドルに対し、38ドルの売上を実現するという大きな成果を挙げている。