マーケターには解決しづらい、DFOの課題
コンバージョンにつながる様々なプロモーションや商品紹介サイトなどの各集客チャネルにあわせて、自社商品のフィードを最適化できるDFO(Data Feed Optimization)。必要なデータのフォーマットは各チャネルによって違うため、マーケターがそれらを全て作成したり、あるいは社内エンジニアのスケジュールを調整して頼んだりするのは大変だが、DFOサービスを使えばそれを簡単に行えるため重宝されている。
しかし、そのDFOサービスにも課題があると語るのは、ユニヴァ・ペイキャストのマーケティング本部で本部長を務める島津久厚氏だ。
「DFOを使ってフィードを準備できても、例えば広告であれば配信チャネルによってはタグを埋める作業が必要で、タグのカスタマイズが必要となる場合もあります。その場合、マーケター自身ができるとは限りません。しかし社内エンジニアに頼もうとしても、スケジュールを上手く確保できなかったりして連携が取れない場合も多い。つまり、現状のDFOサービスだとフィードの準備後から配信までのサポート面が弱いんです」(島津氏)
例えば、タグのカスタマイズを行う必要があるケースで1番多いのはページ上に必要な情報がないケース。サイトには様々なページがあるため、それにあわせてカスタマイズし情報を取得しなければならないという。
また、フィードを必要とする代表的な広告の1つであるCriteoでは、レコメンドの制御のために、コンバージョン後のサンクスページでいくらの何の商品を買ったのかという情報を渡さなければならない。しかし、ECサイトのサンクスページにはただ「ありがとうございました」と表示されているだけで、それらの情報が取得できないケースがほとんどだ。そのため、カートのページから情報をcookieで持っておき、サンクスページに渡すというカスタマイズが必要になる。
必要なのはフィードの最適化ではなく管理
この現状の課題となっているタグのカスタマイズなど、配信までのサポート面にも強みを持ったサービス「Gyro-n DFM(ジャイロンDFM)」をユニヴァ・ペイキャストでは提供している。
「タグのカスタマイズは、Gyro-n DFMの管理画面で簡単にできるようになっていますが、やはり慣れていないマーケターには難しい。そこを我々Gyro-nのサポートチームが、代わりに作成いたします」(島津氏)
また、同社がDFOとせず、DFM(Data Feed Management)としているのは、最適化だけでなく、データフィードの管理まで同社が行うからだ。例えば、各メディアの配信レギュレーションにあわせクリエイティブを全てサポートチームがチェックしてくれる。通常、レギュレーションに違反する画像が含まれると、配信できなかったり、ペナルティを受けたりする場合もあるため、この配信前の事前チェックがクライアントから好評なのだという。
元デザイナーである川田氏と元エンジニアの吉田氏は、サポートチームに所属。それぞれ得意とする領域に関するノウハウを活かしてクライアントと直接やりとりするとともに、クライアントからの要望をマーケティングチームへフィードバックし、新商品開発やツール改善に役立てている。
ワンタグ機能とクローラーがマーケターの負担減に
このように、DFOではなくDFMを導入することによる手離れはマーケターにとって大きなメリットになる。今後、データフィードを使った広告配信チャネルが増えていくのにあわせ、同社も続々とチャネル数を増やしているが、DFMなら1つのデータをマスタデータとして登録しておけば、すぐに各チャネル用に変換できる。さらに、Gyro-n DFMであればワンタグのソリューションも持っているため、チャネルが増えても自社サイトをいじることなく簡単に配信できるという。
「例えばCriteoのタグは、従来であればお客様自身がカスタマイズして設置しなければならなかったのですが、ワンタグであればその必要はないので、とてもご好評いただいています」(川田氏)
また、本来フィードを作るには商品の価格や製品名などの情報を収集・整理する必要があるが、同社のDFMでは、それすらも必要ないという。同社はクローラーを活用し、サイト上の商品情報から自動でデータフィードを作成するという。さらにクロールは毎日行われるため、フレッシュなデータを維持し、それを各チャネルにあわせて配信するところまでサポートしているのだ。
画像の細かい選別で掲載商品増やした「music.jp」
具体的に好評だった企業事例を尋ねたところ、エムティーアイが運営する音楽・動画・書籍を配信する総合サイト「music.jp」が挙がった。music.jpではコミックを配信しており、その広告として表紙画像を各媒体に表示させている。しかし、媒体によっては画像に厳しいレギュレーションが設定されており、掲載NGとなる表紙画像も非常に多いという。例えば、プロレスマンガの表紙画像は、肌の露出があるためNGとなってしまうなど、コミックの内容としては掲載OKでも、表紙画像で掲載NGとなるケースが出てきてしまう。
「このような場合、細かい画像チェックでの振り分けができないと、その画像を含む大きなカテゴリーごと配信対象からはずさなければなりません。Gyro-n DFMではレギュレーションに合わない画像を内容と照らし合わせて細かくチェックすることができるようになったため、配信対象となる商品の幅が広がったのではないかと思います」(川田氏)
重要なのは配信前後に顧客をサポートすること
サポートチームでは、導入時だけでなく、配信前後の支援も行っている。
「チャネル追加に関してお客様のご負担がないため、最初は1つのチャネルだけで進めていたお客様にも、他のチャネルでより良いものがある場合は提案しやすいです」(川田氏)
これは本来であれば営業が行う役割ではあるが、導入支援を行ったサポートチームへのクライアントの信頼は厚く、直接要望がきて対応するケースが多いという。
「現状のDFOのサービスでは、フィードは最適化されたものの、そこからどうすればいいかわからないというお客様も多い。でも当社は導入時の支援はもちろん、フィードの更新からタグのカスタマイズ、広告配信など配信前後の顧客サポートを徹底することで、データフィードの真の活用につながると考えています」(島津氏)
海外のチャネルも積極的に増やして、今後のニーズに応える
今後もGyro-n DFMでは、配信チャネルをさらに増やしていく予定だ。同社は海外に広く進出しており、10カ国ほどの外国籍のエンジニアも多数所属している。そのため、海外でしか提供できないチャネルも含めて提供できるプロダクトにしていくという。
「これからは、海外のチャネルに広告配信したいというニーズも増えてくると思います。そこで、例えば海外のCriteoのような様々なチャネルに対して、Gyro-n DFMでそれぞれのレギュレーションに沿って最適化されたフィードを渡し、我々のワンタグで簡単に各チャネルのタグを実装できる形を、早く実現したいです」(島津氏)
サポートチームでも、より充実した支援を行っていく考えだ。
「日々、新しい知識やサービスを取り入れるのはもちろんのこと、広告配信はスピードが大切なので、これまで通りスケジュール厳守でサービスを提供していきたいですね」(川田氏)
「よく、お客様には“ユニヴァさんに頼めば楽だ”という声をいただくのですが、単体のソリューションではなくて、Gyro-nが持つ様々なサービスで全体的なプロデュースができるようになればいいなと思います。当社にお任せいただければ、何でもできるという状態を目指したいです」(吉田氏)
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