顧客接点が多い今、知覚品質を高めるチャンス
記事の冒頭に述べた機能的優位性、情緒的なイメージはもちろん大事ですし、それを無視しろと申し上げるつもりは毛頭ありません。ただ一番重要なのは、機能であろうが、情緒であろうが「今のお客様がその商品を買っている本当の理由は何なのか?」を冷静に見極め、そのポイントを、まだお客さんになっていない方がピンとくるような「高い知覚品質」で伝えることではないでしょうか。

以前のように、秒数・スペースに限りのあるマス広告に頼っていた時代ではそのようなストーリー発信は難しいかもしれません。しかし、PRや動画など、より情報量の多いメッセージを流すことができる今ならば、「青缶」のように知覚品質を高めるストーリーを展開するチャンスが拡がっているのです。
「本当にマーケティングで効果的なことは何か」追求し続けましょう
さて、本連載は今回で最終回です。これまで5回に渡って、今までの常識・先入観にとらわれない、あくまで「顧客第一」「カスタマーセントリック」な視点での消費者インサイトの掴み方、戦略への活用の仕方について述べてきました。私自身、普段の業務で「お客様が求めていること」「お客様が聞きたいこと」が掴みきれず、四苦八苦することは日常茶飯事。だからこそ「お客様に受け入れられた=売れた」瞬間の喜びは格別です。
私がマーケティング業界に身をおいて四半世紀になりますが、未だに「消費者はこう考えるのか」という発見に、日々驚かされ続けています。今後も「本当にマーケティングで効果的なことは何か」追求し続け、そこで得た示唆を、また皆様にご共有できたらと思います。それでは、またどこかでお目にかかりましょう。