中間指標:売上に相関のある手前の指標を見つける

レバレジーズは、2012年から現在までの4年間で、150名だった社員数は500名超になり、オフィスも2ヵ所増え、売上は5~6倍に急増している。その経営規模を支えるエンジンになっているのが、棚橋氏の率いるプロモーションチームだ。そこでは前述のように、CPAを指標に目標や予算を立てているが、あえて別の指標も入れているという。
逆に、わかりづらくなるのではないか? と足立氏が質問すると棚橋氏は『看護のお仕事』の場合、7〜8年事業を展開しており、CPAの改善は既にやりきった感があるとし、次のように説明した。
「もともと当社では、CPAとコンバージョン数を指標にしていました。しかし、こちらは既にもうギリギリ。これ以上CPAを下げるとなると、今コンバージョンを取れているチャネルを絞る以外に思いつかないところまできています」(棚橋氏)
そこで設定したのが、コンバージョン1件あたりの売上の期待値だ。本来は、CPAを下げることではなく、売上と利益率を上げることが目的。そのため、他の部分でカバーできないかと考えて着目したという。
「コンバージョンやコンバージョンの期待値が上がる指標を、中間指標として探っています。たとえば、当社のサービスに対してどういう認識でいるのか、いわゆる“態度”。”態度”のスコアを上げることで、コンバージョンレートやコンバージョン1件あたりの売上の期待値も上げていけるのではないかと考えてます」(棚橋氏)
カスタマージャーニー:施策軸から人軸へ

まず足立氏が、カスタマージャーニーの本質は施策ごとの善し悪しを見るのではなく、人を軸にして、ユーザーが様々な施策やコンテンツをどういう順番で辿ると最適なのかを考えることだと述べた。
施策軸の場合、例えばこのSEOでコンバージョンが何件とれたかという話になるが、人軸になると、手前にコンテンツを当てるとクリックしやすくなる、さらに動画を見せるとコンセプト理解が深まってよりスムーズになる、という考え方になる。そして重要なのは、人軸の場合、動画・SEO・コンテンツなどを通る様々な経路を通ったユーザーを、年齢や性別も加味して評価することだ。
「たとえば、ある経路を500人が通って、そのうち新規は150人、コンバージョンレートが50%だったとします。他の経路だとコンバージョンレートが30%だから、この経路は良いと評価できます。これは、最初に仮説ありきです。仮説に対して、実際何人が通ったのかがなければ、プランニングができません。さらに、リーチしたユーザーの中で、20代は何名だったのか、男性の割合はどれくらいなのか、などを見ていく必要があります。当社製品の『アドエビス』では、これらを全て見ることができるプラットフォームを用意しています」(足立氏)

また、補足として、足立氏はデジタルマーケティングの現在の変化についても語った。SEOやリターゲティングでの刈り取りは、今やレッドオーシャン化しており、広告費も横ばいとなっている。プレイヤーが多く、CPAが高騰しているため、ユーザーに出会うことすら難しい領域になっており、その背景にはスマホやメディアの普及があるとした。
「以前はインターネットの入り口は検索だったので、その領域をおさえることが勝ち筋でした。しかし、スマホが普及した今、SNSやキュレーションメディアなどのアプリが台頭。タッチポイントが増え、検索より手前でユーザーに出会うようになりましたが、ここで出会ったユーザーは、何もしないと出て行ってしまいます。だから、マーケティングオートメション(MA)などのソリューションを導入せざるを得ない状況になっています。このユーザーはどんな人で、どのステージにいるのか見て行かなければなりません。実際、MAの市場は成長基調です。
また、人軸でデータがつながっていくと複雑性が増すため、機械学習での最適化ニーズも高まってきています。この理解をもとに当社では製品を企画しており、実際にアドエビスはコンタクトポイントをひたすら押さえ続けながら、人軸でのデータ分析・活用ができるよう機械学習と連携させています」(足立氏)

次に、棚橋氏が事例を紹介。レバレジーズでは、前述の中間指標を上げるために、サービス理解を促進させる施策を行っている。これは、サイト訪問済みのユーザーに対して、同社のサービス内容を理解できるコンテンツを配信するというものだ。また、今後はサイト未訪問のユーザーにも、サイトの認知を広める施策も行う考えだという。
「具体的には、バナー広告を沢山掲載して、そのバナーに接触した人とそうでない人で、どれくらいコンバージョンレートが変わるのか調べたことがあります。これは、知らないサービスにいきなり検索で出会うよりも、“このサービスのこと知ってる!”と思ってくれた方が、コンバージョンの確率が高まるのではないかと考えたからです。
結果、かなり良い結果が出まして、自然検索でもバナー広告以外の経路でも、バナーに接触した人の方が、全体的にコンバージョンレートが上昇していました。この施策でかけた費用と、コンバージョンレートの増加分の売上を換算してみたら、利益も出ていました」(棚橋氏)
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