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日本KFCがIBM製品を用いて、スマホアプリを軸にしたDMP活用を開始~その狙いと戦略に迫る

膨大なデータ量への対応、施策の自由度も選定理由

大島:様々なプラットフォームがある中で、IBM Marketing Cloudを選ぶに至った経緯とその選定ポイントは何だったのでしょうか?

塩谷:施策やデータが分散しているという課題に対して、どのデータを保持するかを含めて検討を始めたのが2016年1月のことです。そのころ丁度、アプリのダウンロードが進んでいき、2016年5月にアプリを軸にしてDMPを導入することで方向性が決まりました。

日本KFCにおけるデータ統合マーケティング全体像
日本KFCにおけるデータ統合マーケティング全体像

伴:日本KFC様のお客様にスマートフォンユーザーが増えている状況を受け、当社としても「モバイルのユーザーエクスペリエンスをいかに高めていくかがポイント」であると考えてツールを検討していきました。IBM Marketing Cloudはこの点、モバイル体験を重視した機能が豊富であり、SDKを通じて顧客行動のモーメントがしっかり把握できます。この特長を日本KFC様も高く評価され、導入が決定しました。

大谷:時期の話でいうと、2016年3月から統合プラットフォームのプロジェクトが本格化して、ツールを検討したのがその年の5月くらい。IBM Marketing Cloudに決定したのが7月で、そこから短期間で導入を進められました。

大島:DMPを活かす方向としてスマートフォンアプリを主軸にすることが決まり、その目的に合ったツールとしてIBM Marketing Cloudを推薦したわけですね。

伴:そうです。まず、日本KFC様が全デジタルプラットフォームでお持ちの膨大なデータ量を処理できるスピードを確保できるかがポイントでした。たとえば毎年クリスマスの時期に非常に多くのトランザクションが発生します。そのような時にも十分に処理できるパフォーマンスがあるかどうか、日本KFC様に慎重に検討いただきました。

 それに加え、今後展開する施策について、ある程度の自由度があることもポイントでした。あれはできるけどこれはできない、というツールは避けたかったのです。IBM Marketing Cloudはこの点をクリアし、また当社が運用サポートをさせていただく中でミスが起きにくく、運用しやすいことも評価ポイントだったと伺っています。

大谷:細かい話になりますが、日本KFC様にIBM Marketing Cloudをご提案した際に、位置情報に基づいたキャンペーンが打てる点も、今後の活用を考えると魅力的であるとのお声をいただきました。また、メールの配信を個々のお客様のメール開封時間に合わせて最適化できる機能がある点もご好評でした。

顧客IDの統合を進めるための工夫

大島:今回の導入プロジェクトに当たり、日本KFC様の社内マネジメントは塩谷さんが中心になって進められたかと思いますが、その点で工夫した点があれば教えてください。

塩谷:会社として、かねてよりデジタルマーケティングには注力してきました。そのため、社内での‘デジタル’に関する意識はとても高く、大きな追い風になりましたね。

 一方で、デジタルマーケティングの領域は流れが速く、次々に新しい仕組みも登場するので追いかけるのは大変です。どうしても現場のマーケターやマネジメント層、その他の領域担当など、立場によって情報量に差はついてしまいます。そのギャップを埋めるためにじっくり腰を据えて、社内に対して説明していく必要はありました。たとえば、「そもそもCRMとは何だろう」というテーマからCRMの定義を考え、「では日本KFCとしてやるべきCRMとは何か」を考えてみたり、まずは「CRM」「DMP」というキーワードを浸透させることから始めてみたりと、いろいろな観点から理解を得られるように説明を続けていきました。

 また、おもしろい・新しいマーケティングの取り組みは世の中のニュースになりやすいので、「他社は○○をしているけど、うちもできないの?」と聞かれることもあります。その際に「私たちはこういった取り組みを通じて、××を実現させたいので、現在こんな準備をしています」と状況を説明できるようにしました。すると、今後の活動を見据えた取り組みをしている、と社内からの理解を得やすいと感じました。

伴:加えて、CRM基盤構築のプロジェクトの進捗を経営層に対して随時共有していただいたことも、今回の導入のポイントだったと思います。

「即断・即決・即実行」で進んだデータ統合

大島:先ほどのお話ですと、これまで分散していたデジタルユーザーの情報を統合することが今回のプロジェクトの肝だったと思いますが、その点に関しての工夫や苦労はいかがでしょうか。

伴:ID統合プロジェクトの場合、部門間のセクショナリズムが顕在化するケースもあります。日本KFC様の場合、そういうことはなく、各部門が協力的に進めてくださったので、非常にスムーズでした。

塩谷:当社は社員に対して「即断・即決・即実行」を標榜しており、その方針は浸透しています。いくら綿密に下準備をしても必ずしも成功するとは限らないですし、ならば「即実行!」ということで新しいマーケティング活動に乗り出すことができました。

大島:データ活用の観点では、現場のデータサイエンティストが「他部門のデータを活用したいけど、協力が得られない」という課題でつまずくことが多いのですが、日本KFC様の場合そうしたケースがないというのは、強みですね。

大谷:この取り組みに至るまで約1年半という期間を日本KFC様とご一緒させていただき、情報システム部の皆様や各ベンダー企業など、データ統合プロジェクトに関係する方々とじっくり信頼関係を築けたことも大きかったと思います。

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購買前後の顧客行動を把握し、エンゲージメントを深化

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/02/03 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25650

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