リーンスタートアップのためのCMSとは
「成功するオウンドメディアを支えるCMSプラットフォーム」と題し講演を行ったのは、ディバータ エグゼクティブマネージャーの田尻氏。ディバータがBBQ GO!に提供している同社のCMS、「RCMS」について、オウンドメディアという視点から解説した。

「当社が提供するRCMSには、250以上の基本機能があります。オウンドメディアは成功が読みづらいため、予算を確保できない場合が多い。ですから、できるだけ標準機能で小さくスタートすべきです。その中から必要な機能を選定し、そこを作り込む。リーンスタートアップには機能の選定が重要です」(田尻氏)
実際にBBQ GO!立ち上げの際、実装を予定していた機能の大半は、RCMSが提供する基本機能でまかなえたという。カスタマイズを行ったのは、検索とスマホ最適化の2点だった。検索についてはBBQ GO!の生命線であると捉え、開発当初の段階でどのような検索機能が必要なのかをリストアップ。マックグラフィックアーツとそれぞれの機能について検討し、実装を進めた。
またスマホ最適化については、近年主流となっているレスポンシブデザインではなく、スマホページとPCページを別々に制作する、ダイナミックサービングを採用した。この方式は自由度が高く、要素単位でデバイスごとに出し分けることが可能だ。デザイン・コーディング作業が2倍になるため、製作コストがかかるというデメリットがあるが、日本ハムには、利用シーンによって見せる情報を変えたいというこだわりがあった。
サイト公開後は、バックヤード側においてもPDCAを回し続けた。分析結果に基づき、口コミによる評価機能や、しおり機能などが実装され、バーベキュースポット側の管理ページも公開。バーベキュースポット側が自ら掲載データを更新できるようにした。その他にも、多くの機能を実装したという。
「PDCAを回し、根拠に基づいた機能実装を行っています。『今はこの機能を追加』を継続することで、進化し続けることができるのです」(田尻氏)
オウンドメディアに依存し過ぎず、外部プラットフォームと連携すべき
最後に登壇したのはフィードフォース セールスチームの水谷氏。同氏はオウンドメディアにおけるソーシャルログイン実装の重要性について語った。

「オウンドメディアはとても大事な存在ですが、依存し過ぎるのは危険です。オウンドメディアと外部プラットフォームを連携させ、活用することが非常に重要です」(水谷氏)
デバイスが多様化している現代において、フラグメンテーションが弱まることはなく、Webサイト閲覧時のスマホ利用率は年々高まっている。また、スマホの中でも、ブラウザではなくアプリの利用率が高まっている。
「デバイスやメディアが多様化する中、生活者は常に便利なものを求めるので、流動的です。その流れやすい生活者のニーズを捉えているのは、FacebookやGoogle、LINEなどのプラートフォーム。オウンドメディアにおいても、これらの外部プラットフォームを有効活用していくことが重要です」(水谷氏)
同氏は、ソーシャルログイン導入の目的はSNSからのプロフィール情報取得だけでなく、サイトのUI・UX向上に重点を置くべきだと語る。ソーシャルログインは、会員登録率向上や離脱率改善などが期待でき、特にモバイルでの影響が大きい。また、ソーシャルメディアとCRMのデータ連携ができるため、新たな広告施策が可能となる点もメリットだという。
「現在、日本のソーシャルログインにおいては、Yahoo! JAPAN IDが半数以上を占めています。市場環境的には、急速にLINEがシェアを伸ばして来ています。外部プラットフォーマーの構成が今後どうなるかは予測できませんが、重要なのはその時々でスムーズに外部プラットフォーマーと付き合えるかどうか。選択肢を持っておくことが重要です」(水谷氏)
オウンドメディアも分析とPDCAが重要
今回のイベントで終始強調されたのが、サイト立ち上げ前から公開後の現在も継続して行われている、ユーザー視点でのPDCAだ。BBQ GO!は闇雲にコンテンツを生産するのではなく、事前にコンテンツを生産し続けられる組織体制を構築。継続してPDCAを回し、きちんとアクセスを分析しながら運用を行うことで、結果を出していた。これらは決してBBQ GO!に限った話ではなく、すべてのオウンドメディアにおいて、成功するためのポイントとなりえるのではないだろうか。