コミュニティでの流行がマーケティング施策に
次にWHAT、どのようなコンテンツが効果的かについて西村氏は解説。同氏によれば「流行るコンテンツを作るには、ゼロから生み出すことではなく、小さな芽、小さな流行の波をうまくつかむことが重要」、つまり情報感度の高い層の中で起きている小さなムーブメントをつかみ、それを大きくしていくことが必要だという。
MixChannelでは、ローンチ当初から、若年層に適合しそうなコンテンツを「カテゴリ」分けして、そのカテゴリ内で動画を投稿するというユーザー体験を提供している。これらのカテゴリ内で流行する兆し(=小さな芽、小さな流行の波)をうまく捉え、カテゴリなどの運営に生かしているという。このような運営の考え方から生まれたのが「双子ダンス」。格好やメイクを似せて、動きを合わせながら二人でダンスを披露することの呼称で、「ツインズ」内のキラーコンテンツである。

「MixChannelで双子ダンスが出てくる前は、この言葉自体がなかったのではないでしょうか。2015年4月ごろまでは、MixChannelの作品はカップルによる投稿がキラーコンテンツでしたが、ペアルックでダンスする短尺動画が急にアップロードされ出しました」(西村氏)
その動きに呼応して、運営側も同時期に新たに「ツインズ」というカテゴリを設けたのだ。運営側が流行の兆しをキャッチした例であり、Google Trendの動向を見ても、双子ダンスという言葉のピークが、MixChannelでのピークから約3カ月も後に来ている。
こうしたコミュニティで育った流行がマーケティングに活用できた好例はある。それが、某小売業者におけるプライベートブランドのブランディング施策だ。
「MixChannelで、まこみなさんを採用したオリジナルのクリエイティブで動画広告を配信しました。VTR(視聴完了率)とCTRともに非常によい結果となりました」(西村氏)
どのチャネルで流行を創出すべきか?
では、最後にHOW、つまりどのようなチャネルで流行を広げていけばいいのか。

西村氏は、TVというマスの力とWebメディアを組み合わせたコミュニケーションが有効だと提案する。Donutsの調査では、「もっとも信用・参考にしている情報源」についてMixChannelユーザー、一般ユーザーに尋ねたところ、両者ともにTVへの信頼性が他のメディアよりも一定割合以上高い、というデータが出ている。
こうした背景を踏まえ、Donutsが提案するカスタマージャーニーは、TVCMなどのマスマーケティングで広い認知を集めた後、SNS上でインフルエンサーなどをハブとして商品やサービスのユーザー体験などを拡散し、リアルなクチコミを生みだしていくのが、理想的な流れであるとしている。

「MixChannelを運営していく中での手応えでいうと、マスマーケティングで広く認知を行き届かせる力と、SNSを通じてインフルエンサーが拡散していく力の双方を組み合わせた戦略が、もっともマーケティングの成果が高いと考えています」(西村氏)