タイトルに良い意味で裏切られる!『The Customer Journey』
まず1冊目にご紹介するのは、『The Customer Journey』です。本書では、タイトルにもあるように、昨今のマーケティングにおける注目キーワード「カスタマージャーニー」について解説しています。
これだけド直球なタイトルを見た時、「カスタマージャーニーとは何か」「自社で取り入れるにはどうしたら良いのか」といった内容を読む前に予想していました。しかし、本書ではまず現在のマーケティングが置かれている環境の整理から始まります。
スマートフォンやIoTの登場によって、様々な情報と人がつながる社会が形成され、進むスマート化。商品価値のコモディティ化が進みやすくなると同時に、商品ライフサイクルは年々短くなっていく。さらに、人口減少によって引き起こされる需要の減退など、現在のマーケティングにおける課題を体系的に理解するパートが、総ページ数の約3分の1を占めています。
その上で、マーケターはどのような役割を担うべきなのかを解説。さらに本書では、顧客視点でのマーケティングを実現している企業30社の事例を、実際のカスタマージャーニーマップとあわせてお届けします。30社にはANAやLEXUSをはじめ、名だたる企業が登場します。
ここまでの説明を聞くと、カスタマージャーニーを描くためのメソッドが解説されている、という印象はあまり受けないのではないでしょうか。
もちろん、カスタマージャーニーマップの作成法を解説するパートもありますが、本書は「現代社会で求められているマーケティング」の新しい形が、先進企業の事例とともに理解できる、タイトルを良い意味で裏切った内容になっています。
マーケティングの入門書としてはもちろん、最新のマーケティング動向を知りたい方におすすめの1冊です。