デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。電通デジタル・有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、アメリカで発展中のプログラマティックTVに注目し、ブランディングに特化した動画広告のDSPを提供するTubeMogulの近藤弘忠社長を訪ねた。近藤氏は日米のメディア環境の違いを挙げ、日本ではむしろテレビとデジタルの最適な組み合わせを追求することが課題ではと指摘する。
プログラマティックTV最大手のTubeMogul
zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)
有園:前回の連載では、テレビ朝日さんに映像コンテンツの今後について聞きましたが、今回はネットのテクノロジーの観点から考えてみたいと思い、動画広告DSP大手のTubeMogulで日本法人代表を務められる近藤社長にお話をうかがいます。今回の内容はテレビ業界の方々にもぜひ参考にしてもらえればと思うので、まずは御社の紹介からお願いできますか?
近藤:アメリカを拠点とする当社は、動画広告を中心にDSPを展開しており、2013年から日本法人を運営しています。DSPなので、広告主や広告会社にシステムを提供しているのですが、特に当社では掲載媒体のプレミアム性にこだわっているので、ブランド広告主の出稿がほとんどです。
先日、Adobeによる当社の買収が発表されました(参考)。Adobeの提供するマーケティングソリューションに動画広告の最適化ツールが加わることになり、我々としてもさらに多くの企業に使っていただける機会だと捉えています。
有園:動画広告というと、インストリーム、アウトストリームのいずれもカバーされていますか?
近藤:もちろん、YouTubeなどの映像コンテンツの前や後に動画広告が挿入されるインストリーム型、テキストコンテンツに動画広告枠が挟まるアウトストリーム型の両方を扱っています。これら動画広告と、通常のディスプレイ広告も含めて、自動で最適な配信プランを提案しています。モバイルもカバーしています。
有園:アメリカでは広がりつつあるテレビCMの自動入札の仕組み「プログラマティックTV」についても現状を知りたいと思っています。プログラマティックTV領域では、御社はNo.1プレーヤーとして浸透していますよね。
近藤:そうですね。アメリカではプログラマティックTVを検討する際のプレーヤーとして、当社を最初に想起する率が70%近くになっています。市場自体も前年比2〜4倍のペースでの伸長が予測されており、2017年には21.6億ドルになる見込みです(出典:eMarketer, June 2016)。
テレビCMのターゲティングが格段に精緻化する
有園:簡単にいうと、プログラマティックTVはテレビCMのプランニングもネット広告のDSPと同じようなやり方でできる、と理解しているのですが、それで合っています?
近藤:そうですね、事前のプランに沿って最もコミュニケーションしたい人たちが多く含むように、ネット広告のターゲティングと同じコンセプトといえます。
有園:具体的にどんな形で、最適なプランが導かれるのかを教えていただけますか?
近藤:参考まで、管理画面をお見せしますね。たとえばAというプロモーションにおいて、ターゲットを年齢・性別などのデモグラフィック属性や、もう少し複雑な「高所得者」とか「○○に興味関心がある」といった条件で指定します。それから、予算やその他の条件を入力すると、どの時間帯でどの番組に出稿するのが最もリーチが高いのかが提示されます。
有園:どういう買い付けをすると、ターゲットが多く含まれるかということですね。
近藤:そうですね。ただ、プランニングした通りに実際に買って出稿できるかというと、それは在庫の問題があるのでちょっと違います。ここからは、従来のテレビCM出稿のように、マニュアル的に在庫を確認する必要があります。オンターゲットに対するCPMを保証しているので、それに届かなければ配信開始後にチューニングしますが、それも人的な対応になりますね。
そのため、完全に自動化とはいかないのですが、それでもターゲティングの精度が格段に高くなり、戦略的に出稿できる。その点が、プログラマティックTVが拡大した要因だと思います。
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
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