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日本のネット文化を世界へ輸出 No.1 音楽コラボアプリ「nana」の狙い


次は北米、nana流 “ブームの作り方” とは

菅野:今新規ユーザーの7割近くが海外だということですが、国内ユーザーと違いはありますか?

文原:日本人には「こんな声ですみません」って言っててすごくうまいというような謙虚さがあるんですけど(笑)、海外の人たちのコミュニケーションは、「お前いいね、俺もいいから聞いてよ」といった具合で、すごくシンプルでストレートです。

 あと海外の人たちはあまりコラボレーションをしないですね。ただこれはまだうまく使えていないだけだと思っています。海外の人たちには引用したり二次創作したりするという概念がちょっとまだ伝わりづらいのかなと。そこはひとつ課題ですね。

菅野:そこって課題であると同時にすごいおもしろい領域ですよね。日本の二次創作とかコラボといった文化をコンテンツとして輸出していくというか。

文原:そうですね。今年は海外で、特に北米で存在感を示していきたいと思っています。

菅野:国によって文化もブームになるタイミングも違うとは思いますが、どのように海外の成長をドライブしようと考えていますか?

文原:最初の熱量、10人50人を100人くらいにするまでは、人の手が介在しないといけないと思うんです。日本でも最初、ダウンロード数が10や30の時代にも熱いファンになってくれた人たちがいて、そういう人たちと運営が密にやりとりをしながらもっと良いサービスにするにはどうしたらいいのかということを考えていた。

 その10人を50人にして100人にして、100人までいけば、熱量って伝播していくので500、1000に伸びていく。そのあとプロモーションをかければ万の数字に行く。なので、どこの国にいくか見極めたらそこには部隊を作りコミュニティマネージャーを置いて彼が常にユーザーヒアリングをして、ヒアリングした人たちに僕らの哲学も伝えてファンになってもらう、チームの一員になってもらうという地道な草の根活動をやらなければと思っています。

広告にインセンティブはいらない、「ノリで参加できる」が受け入れられる

菅野:最後にマネタイズについてですが、nanaのサービスの収益化の軸はどう考えていますか?

文原:ひとつは広告です。もうひとつはエンドユーザーの方々からお金をいただくいわゆる月額課金。基本的にはこの2軸で考えています。

菅野:広告の話で言うと、企業とユーザーとのコミュニケーションになると思いますが、nanaという場で企業はどうすると良いのか、見えてきたものはありますか?

文原:これはうちに限らないとは思うんですが、とにかく目線を合わせることが大事だと思います。たとえば、アーティストご本人が熱をもってやってくれた成功例として、ある新曲の卒業ソングを出すときに、その卒業ソングのコラボがnanaの中で1万人集まったらあなたたちの歌声をボーナストラックにしてこの新譜に入れます、というのをやったんですね。これはやっぱりちゃんと1万人集まったんです。

 さらにiTunesのデイリーランキング、リアルタイムランキングで1位にもなりました。逆に、何かインセンティブ与えとけばいいだろうみたいな、新曲歌ってくれたら物プレゼントします、ライブに招待します、というパターンも多いんですけど、これはあまり響かないですね。ノリで入れる楽しいことで、これまでファンではなかった人がファンになっていくようなスキームを考えないといけないと思います。

菅野:単純にインセンティブを与えてそこのコミュニティを動かそうとするというよりは、元々nanaというのはカジュアルな表現の場なんだということを理解して、キャンペーンだったらその中の出口としてユーザーが参加できるようなことが合っていると。

文原:ですね。たとえば僕らの世代ってチェーンメールが流行ったじゃないですか。むしろインセンティブなんていらないんだと思うんです。各企業の掲げている色や哲学、ブランドというのはあると思うので、そこの文脈から逸れない何かで、ノリで入れることがすごく大事だと思うんですよね。

 彼らの目線に合わせていないと簡単に見透かされるんです。物をあげるとかではなくてノリでおもしろくて拡散していく方法を考えることが重要だと思っています。

転載元

この連載は、モバイルでイノベーションを起こす「人」と「仕事の舞台裏」にスポットライトを当てるMOBILE PEOPLEの記事を再編集して掲載しています。

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この記事の著者

ファイブ株式会社 菅野 圭介(カンノ ケイスケ)

2008年にGoogle Japanに新卒一期として入社。買収後のAdMobの日本オペレーションの立ち上げ、YouTube広告製品等のプロダクトマーケティング・収益化・ビデオクリエイティブエコシステムの拡大を担当。2014年にFIVEを設立。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/05/04 00:12 https://markezine.jp/article/detail/26157

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