誰に何を依頼すべきか?

続いてのテーマは、インフルエンサーマーケティングの実際の運用についてだ。モデレーターの押久保が、現場での課題感を提示した。
「企業のマーケターがインフルエンサーマーケティングに取り組むとき、誰にどう依頼すべきかがわからない」という課題だ。インフルエンサーと組むときに押さえるべきポイントについて、両氏が語った。
この質問に答えたのはYouTuberとして企業側からの発注を受ける立場にいるMEGWIN氏だ。彼は業界にいながらも、なかなか実態がわからないのも仕方がない、とした上で、YouTuberという職業の特性について分析を述べた。
MEGWIN氏は最初に、「YouTuberは制作会社ではない」ときっぱりと否定した上で、話を続けた。ほとんどのYouTuberは自由気ままに動画を作るのが普通であり、注文の多い企業とは相性が悪いという。細かい点まで指示してしまうと、やりにくさを感じ、良い成果は望めない。
YouTuberと組むのであれば、細かい指示ではなく、「あなたのファンにこの商品をアピールしてください」の一言で十分であるという。つまり、実際の購買まで求めるべきではなく、認知向上までがゴールだとしたほうがいい。
彼自身にも失敗があったという。某電話会社で細かい指定のあるCMを作るよう依頼を受けたのだが、彼の思い通りの動画が作れず結果的にファンに届かなかったという。仕方なく注文通りに制作したはいいものの、やはりほとんど効果はなかったわけだ。
こうした失敗例をもとにMEGWIN氏が最も効果があると考えるのが、企業がYouTuberのアイデアに全面的に協力する場合だという。
例として挙げたのが、ヤクルトのPR案件において本社の社員とともに「ヤクルト一気飲み会」をしたり、ラグビーで対戦したりといった企画だ。
「ここまで企業側が許容してくれると、ファンの共感につながり結果的によい成果が望める」と氏は経験を述べる。
今後の展望

講演の最後に、両氏が今後の展望を述べた。
まず張氏が次に注目しているのが、ミレニアル世代で流行しているInstagram上での共有だ。同社の方法論に従いながら、共通ポイントと提携企業のネットワークのみならず、日常の中にシェアしたくなる話題を仕込んでいきたい、と展望を語った。
続いてMEGWIN氏が述べたのが、企業へのサポートだ。企業がYouTubeチャンネルを制作するのが一般化していくなか、動画のプロとしてサポートする需要が生まれていくためだ。「企業という新たなプレーヤーに、自らの知見を提供していきたい」とし、講演を締めくくった。
