データドリブンはマーケティングを成功に導く施策のひとつ
――イベントでは、いくつかDomoの新機能が発表されました。そのうちのひとつ、機械学習によって、興味があると思われる、あるいは見るべきレポートなどが自動で通知される「アラートセンター」が印象的でした。日本でも機械学習は注目されていますが、マーケターはAIとどのように付き合っていけばいいのでしょうか。
それについては、現在、マーケターが抱えているもっとも大きな課題と紐付けて回答させてください。先ほどお話ししたとおり、データドリブンマーケティングの成熟度は企業ごとに差があり、それは所属するマーケターも同様です。オンラインビジネス企業のデジタルマーケターは成熟度が高く、伝統的な企業でアナログな施策を行うマーケターであれば成熟度は低めです。マーケティング以外の仕事についている方であれば、データ活用への関心はさらに低くなります。
それぞれ課題はありますが、デジタルマーケターが抱える課題は大きなものです。そもそもデジタルマーケターは、ほかの部門とのコミュニケーションなしには仕事が成り立ちません。デジタルの世界に限って、たとえばSEMのCTRを最適化するといったことは可能でしょうが、それはとても狭い世界での最適化となります。データドリブンマーケティングはもちろん、データにもとづいてビジネスを最適化をするという観点では、ほかの部門や領域でその施策がどんな影響をもたらすのかを把握しないと、部分最適に終わってしまいます。
機械学習は、デジタルマーケティング部門だけでなく、ほかの部門のデータも紐付けたうえで、マーケティング投資を最適化するのに役立ちます。他の部門と統合すると、データは非常に多く、またすぐにアップデートされますから。その前提において、機械学習の活用は利点があると言えます。

Domopalooza 2017で発表されたDomoの新機能。機械学習を取り入れた「アラートセンター」。
――最後に、日本のマーケターがデータドリブンマーケティングを成功に導くためのアドバイスをいただければと思います。
データドリブンはあくまで施策と捉えることができます。マーケターの仕事は、成功指標を明確に定義したうえで、それを達成するためにどの施策を行うかが重要で、その選択にデータを活用するのがデータドリブンマーケティングの本意であると考えています。
たとえばDomoの場合は、リードの獲得が重要ですが、企業によってリードの定義はさまざまです。ウェブに来たら、営業部門に渡したら、成約したら、といった具合です。まずはこれを、マーケティング部門だけでなく、社内共通の定義として明確にすることです。
そのうえで、データを遡ってどのように獲得してきたかをファネル全体で分析すると、必要な施策を選ぶことができます。これがシステマチックにできたら、ベストプラクティスですね。このファネルを私は、「データサプライチェーン」と表現しています。日本の製造業には、製造工程をカイゼンする文化があると思いますが、同様にデータサプライチェーンを最適化していくわけです。
Domoは日本に2011年から進出しました。楽天やリクルートなど大手のお客様とお付き合いさせていただいています。当社の日本のお客様は、データドリブンマーケティングを超えた、「デジタルトランスフォーメーション」をお考えです。Domoではそういったお客様をさらにご支援していくため、イベントの開催や人材の増員など、さらに投資をしていきたいと考えています。(了)