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【広告効果測定基礎】海外で解明された効果


コンバージョンとインプレッション

 エンゲージはコンバージョンに注目してインプレッション効果を明らかにした。同社の2001年第3四半期の報告書によると、広告が影響したすべてのコンバージョンのうち、広告をクリックして訪問した利用者のものは25%に過ぎないという。それに対して、広告に接触したもののクリックせずその後に訪問した利用者のコンバージョンは36%、残りの39%は2回目以降のコンバージョンだった。

 すなわち、クリック率だけに注目していると、残りの75%の効果を見逃してしまうということだ。また、広告に接触したもののクリックせずその後に訪問した利用者のコンバージョンは、38%が30分以内、52%が24時間以内、96%が30日以内に発生していた。

広告フォーマットとコンバーション

 コンバージョンについては、アドバタイジングドットコムも2003年5月にデータを公表している。同社が1週間に渡って1,500万人に配信した1億6,800万インプレッションのクリック率とコンバージョン率を、広告フォーマット別に分析したものだ。クリック率については、フルバナー(左右468ピクセル×天地60ピクセル)のそれを100とすると、リーダーボード(728×90)は110、スカイスクレイパー(120×600)は160、ポップアップは1,320だった。

 一方、コンバージョン率について、フルバナーのそれを100とすると、リーダーボードは70、スカイスクレイパーは120、ポップアップは1,420だった。また、リッチメディア広告(GIFとJPEG以外)と非リッチメディア広告の比較も行われた。クリック率については、リッチメディア広告の優位性はなかったが、リッチメディア広告のコンバージョン率は非リッチメディア広告の4倍だった。

ダイナミックロジックはフリークエンシーごとのインプレッション効果まで明らかにしている。
これは同社が2003年に測定した広告のノーム値。フリークエンシーの上昇にともなって、
高いインプレッション効果が期待できる。

クロスメディア効果の研究

 インターネット広告のインプレッション効果が解明されてくると、次に注目されたのはインターネットとマスメディアを組み合わせたクロスメディア効果だった。

 OPAは2002年1月から2月にかけて、メディアミックスが広告認知率に与える影響を測定している。テレビ広告だけを露出するグループとインターネット広告だけを露出するグループ、およびその両方を露出するグループの広告認知率を、広告を露出しないグループの広告認知率と比較した。

 それによると、テレビ広告とインターネット広告の両方を露出したグループのテレビ広告認知率およびインターネット広告認知率は、テレビ広告だけまたはインターネット広告だけを露出したグループのそれよりも高かった。

 また、EIAAは2002年7月から10月にかけて、ドイツ・イギリス・フランスの3カ国でクロスメディアキャンペーンの効果を測定した。この調査は7カテゴリー15ブランドのキャンペーンを対象に実施され、マスメディアにインターネットを組み合わせることによって広告のリーチが広がることが確認された。さらに、マスメディアだけまたはインターネットだけで広告に接触した人よりも両メディアで広告に接触した人のほうが、広告認知、ブランド認知、購買意向などが高かった。

予算比率の研究

 有効なクロスメディアプランを立案するためには、広告キャンペーンの予算のうちインターネット広告が占めるべき適切な比率を求めなければならない。これに対する回答を打ち出したのが、ユニリーバの石鹸ブランドについての調査だった。マーケティングエボリューションの監修により、MSN、ARF、IAB、ダイナミックロジックが共同で2001年10月から11月にかけて実施したものだ。テレビ、雑誌、インターネットを組み合わせたキャンペーンの効果を測定した。

 それによると、インターネット広告のリーチとフリークエンシーはそれぞれブランドの評価を高める効果があった。キャンペーン予算に占めるインターネット広告の比率は2%に過ぎなかったが、これを15%に高めた仮想プランであれば、ブランドの総合的な指標がさらに8%、特に購買意向率は14%上昇していたはずだというシミュレーションがなされた。その仮想プランは、テレビと雑誌についてはリーチをそのままにフリークエンシーを減らし、インターネットについてはリーチとフリークエンシーの両方を高めたものだ。その後、同一手法の調査はマクドナルドなどの複数のキャンペーンに対しても実施されている。

EIAAが2002年7月から10月にかけてドイツ・イギリス・フランスで実施したクロスメディア調査。
日記式アンケートにより回答者の広告接触状況を把握して、
接触した広告ごとのブランド評価の差異を分析した。
複数メディアの広告に重複接触することにより、広告効果が向上することがわかる。

 また2003年3月、ダブルクリックはネットレイティングスやインタラクティブマーケットシステムズとともに行ったメディアプランのシミュレーションを発表した。キャンペーン予算に占めるインターネット広告の比率を高めることによってテレビでは到達しづらいターゲットへのリーチを広げられることが、これによっても明らかにされている。

オフラインでの購買への影響

 インターネット広告が購買行動に与える影響も研究されている。インフォメーションリソーシーズはダブルクリックとともに、プロクターアンドギャンブルの3ブランドについて1999年に調査を実施した。

 それによると、食品ブランドについては、インターネット広告に接触したグループのオフラインにおける購買がインターネット広告に接触しなかったグループを19%上回った。しかし、その他のブランドではその傾向を確認できなかった。同社は2001年5月から8月にかけて、ユニリーバの8ブランドについても同じ手法の調査を実施した。そのうちの6ブランドについては、インターネット広告がオフラインの購買を促進した。

 また、アトラスDMTが2000年に実施した調査によると、あるオンライン旅行会社はインターネット広告のキャンペーンでオンラインの販売が10%増加した。増加した販売の80%は、広告に接触したもののクリックしなかった利用者によるものだった。

ユニリーバの石鹸ブランドについての調査では、
キャンペーン予算に占めるインターネット広告の比率を2%から15%に高めることよって、
購買意向率をさらに14%向上させることができたはずだとのシミュレーションがなされた。

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クロスメディア効果の研究

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この記事の著者

太駄 健司(オオタ ケンジ)

インターネット広告について研究しており、「インターネット広告のひみつ」でその内容を公開している。大手総合広告会社に勤務。マーケティングセクション、インターネットメディアセクション(メディアレップへ出向)を経て、現在は複数メディアを組み合わせたクロスメディアコミュニケーションのプランニングを担当している。

著書
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/02/20 15:23 https://markezine.jp/article/detail/2628

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