感情を変えるクリエイティブとは
ここまで、「ユーザー感情をどう変化をさせるのか、変化させるためのポイントは何か」ということを軸にお伝えしてきました。
ここからは「どのようなメッセージでユーザーの感情を変えていけばいいの?」の疑問にお答えするべく、クリエイティブの根幹となる訴求メッセージについて具体的な話をしていきます。
「感情を変えるクリエイティブ」の訴求軸のために考えなければいけないことは「今ユーザーが抱えている感情」「広告によって変えたい感情」「変えるために上げるべきバロメーター」「それを実現するための訴求」の4つです。
ただ、「今ユーザーが抱えている感情」と言っても、際限なく考える必要はありません。先ほどからお伝えしている「ユーザーが描く理想像」「ユーザーが抱える課題・悩み」「ユーザーが理想像に近づけない理由」の3つのバロメーターから考えていきましょう。

上の図のように、それぞれの感情に対して、それぞれ異なったアプローチをすることにより、「したい!」「しなきゃ!」「できる!」のバロメーターが上がり、商品購入を検討する感情に変わっていきます。
例として、転職サイトで考えてみましょう。
「転職をしたい!」「転職しなきゃ!」「転職できそう!」そう言った感情を引き出すために、まずは「どんな時、どんな人がそのように感じるだろうか」から考えていく必要があります。
たとえば「転職しなきゃ!」の場合は下記のような感情を想定します。
・今の会社では、やりたいことが実現できないと察した時
・同年代の知人より給料や待遇が悪いと知った時
・残業が多く、プライベートな時間を過ごせない時
こういった感情の想定は、実際に顧客になり得るユーザーにヒアリングをしたり、Twitterなどで「転職」と検索してユーザーが何を感じているかを読んだりすることで、想定をすることが必要です。広告担当者の思考だけで感情を想定してはいけません。
そこに対して、「言い当てる」「同じシチュエーションを感じさせる」ことができる訴求を考えていくと、ユーザーの感情が動くクリエイティブになっていきます。
このように「どんな感情の人に何を感じてほしいか」を広告クリエイティブの制作前に考えることができなければ、商品の良や特徴だけを伝える広告となってしまい、「必要な人には買われるけど、今必要じゃない人には一切響かない」広告となってしまいます。
動線すべてでユーザー感情を変えていく
連載の1回目でもお伝えした通り、ユーザーは感情変化の連続によってコンバージョンまでの行動が変わってきます。
今回お話ししたことは、広告でどうユーザー感情を変えるかだけであり、その後のLP訪問やサイト内回遊、離脱後のリターゲティングまで、すべてのユーザー行動に対して適切なコミュニケーションをとっていかなければ、コンバージョンには至りません。
次回の記事では、サイト訪問後のユーザーコミュニケーションやリターゲティング設計など、広告経由でサイト訪問した後の感情変化についてお話しさせていただきます。
