俳優/動画プラットフォーマーが語る「ネットの明暗」
ジョセフ・ゴードン=レヴィット氏といえば、2013年に米国国防省による個人情報収集の手口をリークしたエドワード・スノーデン氏を題材にした映画『スノーデン』で主人公のスノーデン氏を演じるなど、第一線のハリウッド俳優だ。その一方、日本ではあまり知られていないが、彼はオンライン向けコンテンツプロダクションHITRECORDの創設者という、裏の顔を持つ。
HITRECORDは、2004年に同氏が身内の間で始めた、作品をリミックスしたりコラボレーションしたりできる動画プラットフォーム。2010年にはリニューアルし、よりプロフェッショナルで戦略的なメソッドによって、クリエイター達が「自身の仕事でお金を稼げる」取り組みを開始した。2014年には「HitRecord on TV」と題したテレビ番組をケーブル/衛星放送ネットワーク「pivot」で放送するなど、ヒットを飛ばしている。現在同Webサイトには、ユーザー、コンテンツ制作者、アーティスト、歌手など合わせ500万人が訪れていると言われ、世界中の才能がコンテンツ制作に参加している。
ゴードン=レヴィット氏は、6歳の頃『リバー・ランズ・スルー・イット』で映画デビューし、その後も数々の映画に出演している。2000年になると、一度銀幕を離れ、コロンビア大学に入学したが、2004年に退学し再び俳優として活動を開始する。ちょうどその頃に生まれたのが、HITRECORDだ。
「一度俳優をやめて、その後にもう一度俳優をやろうと決めたとき、まったく仕事を得ることができませんでした。そのとき、私自身が、自分の創造的価値についての責任を持たなくてはいけないと強く感じたのです。そこで始めたのが、動画や音楽などをミックスして共有する『HITRECORD』でした。『Hit Record!(録画ボタンを押せ!)』という意味で、『今から始めよう!』という意味を込めて命名しました」(ゴードン=レヴィット氏、以下同)
HITRECORDのその後の成長は前述の通りだが、本セミナーのメインテーマは「どのようにして人を集め、これまで不可能だった価値を生み出すことができるか」にある。
ゴードン=レヴィット氏が注目したのはもちろんネットの力だが、彼は「『ネットの負の側面』が、人の可能性を制約している」と語る。これを克服し、ネットの可能性を最大化することが、ネット社会に生きる私たちにとって急務の課題だというのである。