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MarkeZine Day 2025 Retail

今だから始める!カスタマージャーニーマネジメント入門

コンペや営業の勝率を上げるには、カスタマージャーニーを使う!ストーリーファーストの提案方法とは

提案に求められるインサイトマッチとストーリーテリング

[STEP3] 原因分析

 問題と損失を特定したところで、クライアントの関心は「その原因を払拭して問題を解決するにはどうすれば良いのか」にシフトします。ここで解決の足がかりとなるインサイトを提示することで、問題の原因が生まれた背景から、解決のためのインサイト、そこに自社ソリューションを紐付けた「だから、どうする」という次の企画提案のフェーズにスムーズに移行できます。

 ここでは、インサイトマッチという手法を使います。まず特定のフェーズにおいてカスタマージャーニーが止まってしまった人や競合に離反してしまった人のカスタマージャーニーを分析して、その原因となったインサイトを抽出します。次に、同じ問題を経験しながらもカスタマージャーニーは止まらず、購買に至った人のカスタマージャーニーを分析して、ジャーニーを前に進めるためのインサイトを抽出します。

図:離反者のジャーニーと、ゴールに至った人のジャーニー

 多くの潜在客が脱落・離反していたとしても、購入した消費者のジャーニーには、その商品を買うに至ったストーリーが必ず存在します。言い換えれば、ゴールに至ったジャーニーには、離反する可能性のある潜在客のジャーニーをゴールに導くためのヒントが隠されているといえます。

 このように、離反者のジャーニーとゴールに至ったジャーニーをセットで分析して、ジャーニー間のインサイトをマッチさせることで、特定した問題を解決する企画を開発する方法がインサイトマッチです。

[STEP4] 企画提案

 最後のステップでは、今回の企画が生み出す「カスタマージャーニーの変化」をストーリーテリングします。ここでは、2本のカスタマージャーニーを使います。1本目はSTEP2の診断に用いた、問題が発生している箇所で断絶しているジャーニーです。2本目は、サービスやソリューションの効果で購買までの道のりが完成しているジャーニーです。

図:2本のジャーニー

 そして、1本目と2本目の間には、STEP3で抽出したジャーニーが止まっている原因とそれを解決してジャーニーを前に進めるインサイト、およびそれに基づいて提案する施策やソリューション、サービスを記載します。

 ここがクライアントへの具体的な提案の部分(売り物が登場する部分)です。クライアント企業が目指すべきカスタマージャーニーとそれが実現した時の期待売上額や期待集客数などの予測値を見せながら、それを実現する最適な手段として、自社のサービスやソリューションを位置付けます。

 このように、カスタマージャーニーを用いたストーリーファーストの営業では、「消費者の課題→変化→営業提案(施策)→期待される成果」というコト中心の営業へシフトすることができます。その結果、「ゴールとなるカスタマージャーニーを実現する最適な手段として自社サービスを位置付ける」というプレゼンの型が完成し、「だから、この提案でいくべき」という強い訴求を行う事ができます。

 ここまでの4つのステップを進めると、「クライアント企業が目指すべきカスタマージャーニー」という顧客視点の上流概念とそれを実現する手段としてのソリューションという関係性で合意できるため、残りのスペック、価格、納期などのすり合わせや質疑応答などがゴールを指向してスムーズに進みます。

 また、これに加えてもう1つ、「効果検証パート」を設けることも重要です。これは、媒体枠やソリューションを売って終わりではなく、効果を明確にして説明責任を果たす準備があることを訴求するフェーズです。

 実はカスタマージャーニーを中心に企画を立てておくと、効果検証もその企画をベースに行えるため、非常に一貫性のある企画になります。ジャーニーベースの効果検証はまた1つ大きなテーマになりますので、次回以降で詳しく説明していきます。

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この記事の著者

村山 幹朗(ムラヤマ ミキオ)

 株式会社コレクシア 代表取締役。APRC/JMRAアニュアル・カンファレンス2016にてカスタマージャーニーの現場活用をテーマにした発表で最優秀賞を受賞する他、アカデミアと実務家の連携によるカスタマージャーニー研究会「JEXIS」を主宰する等、カスタマージャーニーの理論研究と実践の両輪でマーケティング支援を行う。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/06/23 12:00 https://markezine.jp/article/detail/26558

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