クライアントから予算を増やす方法
小越
「各部署から予算をもらう」というのはとても大変な作業に思えるのですが、どういった方法でやられるんですか?
藤田
そこは泥臭くですね(笑)。やはり、最初は「何故予算を出さなければいけないのですか?」とのご意見を頂く場合が多いです。他の部署から「予算を回してください」と言われるのですから当然ですよね。ですが、その部署にとってのメリットが統合型マーケティングの方が大きいということを説明して、納得してもらうという作業を根気よく続けます。
小越
なるほど。正に「地道に勝る王道無し」ですね。先ほどの質問にも関連するのですが「広報か広告だったら広告の方が単価が高いので、手数料の高い広告を提案します」という営業がいても不思議ではないように感じますが。
藤田
それについては、我々のビジネスモデルがフィー制であることで、説明がつくと思います。もちろん、プランの中に広告が存在していて、そのための販売手数料をもらうこともありますが、主たる収益はプランニングと運用のフィーです。
小越
少し話が飛んでしまうのですが、フィー制について教えてください。「メディア費だけの提案では十分な効果を上げられなくなりつつあるので、広告主の為にもそうでは無い提案もしよう。その為にはフィー制をきちんと導入しよう」という話を広告会社の方から聞いたりします。
その一方で、広告主サイドで働く方にお話を伺うと「何故、“プラン”にお金を払わなければいけないのですか?」という疑問の声を聞くこともあります。私も、個人的にはよいアイディアを出さない会社がフィーを要求するというのはおかしな話だと思うのですが、フィー制についてそのような話が出たりしませんか?
藤田
その答えとしては、2点あると思います。ひとつは、我々のカバー領域はマーケティングのみならず商品開発やリサーチまで含む、ビジネスコンサルティングフィーであるということ。2点目はそれを達成する為に、弊社の場合では、クライアントの分野で実務経験のある人材を獲得し、チームを組んで仕事をしているということです。例えば、化粧品であれば当該分野で実務経験のある人間と、PR会社出身者、広告会社出身者でチームを組むという具合です。
実務経験がある人間なので、実際に調査の設計や商品開発、工場をどうするといったところまで含めてコンサルティングが必要であれば提供します。そこまで含めてできる人材は報酬ももちろん高いのですが、そこは投資だと割り切っていますね。