百度リスティング広告、プランニングのコツは
坪井:最後は「原則3:コミュニケーションを知る」です。ユーザーと広告の接点を知るということですね。そのためには、KPIとKGIの設定が重要になります。
和田:ここで原則3を体現した、百度が支援した韓国の免税店のインバウンドキャンペーン事例を紹介します。
広告キャンペーンを3つ立てていて、それぞれに違うKPIを設定しています。1つ目がブランド認知。中国で人気のあるタレントを使って、韓国の免税店のブランディングを行いました。2つ目が会員登録ですね。会員登録を促して、免税店の商品から欲しいものを事前予約できるようにしました。そして3つ目は越境ECです。ユーザーが帰国した後でも、免税店のサイトで購入してもらうという流れを作っています。
坪井:インバウンドマーケティングの中でもブランディング、来店促進、越境EC(会員獲得)3つのKPIを置いているということですね。インバウンドのKPIはクーポンのダウンロード数を置くことも多いのですが、新しいKPI設計の仕方で良い事例だと思います。
和田:ちなみに、坪井さんおすすめのプランニング方法はありますか? 中国はマーケット規模が大きい分、ブランドワードだけに絞ってキャンペーンを実行されるケースがあります。しかし、「結果がわからない・効果が上がらない」というフィードバックも多いのです。
坪井:たとえば、配信クエリのボリュームが大きいビッグワードやブランド関連ワードはエリアを絞り、商品名やブランド名など購入・獲得に近いワードの場合は、配信先のエリアを中国全土に広げてみるという方法です。インバウンドのプロモーションの場合なら、ビッグワードは先述したような訪日者数が多いエリアに絞り配信するのも良いかと思います。
リスティング広告で潜在層に認知を広めていく。日本では考えられない手法ですが、認知は必ずしもディスプレイ広告で行う必要はないのです。日本での成功事例や思い込みから離れて、アイデアを持ってリスティング広告を運用することが大切です。
リスティング広告は認知目的でも使える
和田:あらためて3原則をまとめます。「原則1:ユーザーを知る」というのは、検索データからユーザーのインサイトや消費のトレンドを知るということ。続いて「原則2:ボリュームを知る」は、中国マーケットの規模を把握して、キャンペーンやご予算に適切なターゲティングを導きだすことです。
坪井:そして「原則3:コミュニケーションを知る」は、巨大な市場の中で、広告とユーザーの接点を考えるということですね。日本では、リスティング広告の目的を購入・獲得に置くことが多いです。しかし、中国の検索ボリュームを考えますと、リスティング広告を認知目的として活用することもできます。KPIやKGIを設定し、PDCAを回すことが大切なのです。
マーケットが違ってもマーケターが行うことは同じです。中国には大きなビジネスチャンスが眠っているので、今後チャレンジしてもらえたら嬉しいです。
和田:東京オリンピックも控え、ますますインバウンドマーケティングは盛り上がっていくと思います。今後、中国でのデジタルマーケティングを展開する際には、ぜひ百度の検索データ、リスティング広告を活用いただきたいですね。