視聴データと視聴後の行動データを元にPDCAを回す
――まさに、それができると動画クリエイティブも「運用している」といえますね。なぜ、そういう発想に至ったのですか?
大川:動画広告は他のネット広告と違って、ユーザーに一定時間を割いてもらう必要がありますよね。完全視聴を前提にその後のキャンペーンプランニングが作られていますし、完全視聴してからLPに飛んだ人のほうが、途中に動画を離脱してLPに飛んだ人よりも、LPでの滞在時間が長い、といったデータもあります。でも、実際は離脱してLPに飛ぶ人は少数派で、ほとんどが離脱してそのまま関係のないページを見に行ってしまうわけです。
それなら、どんな動画広告なら完全視聴してもらえるかというお題にもっと真剣に取り組んだほうがいい。「3本流して反応がいい1本だけ残す」という大雑把な最適化ではなくて、もっと細かくて深い最適化を、僕らならできる。s1oという強力なパートナーも得られたので、じゃあやるしかない、と!(笑)
――両者が提携し、Candeeの再撮影や再編集のノウハウと、s1oによる視聴データや視聴後のデータ分析を組み合わせることで、クリエイティブについて高精度のPDCAサイクルを回せるわけですね。
高瀬:そうなんです。我々も、動画広告のクリエイティブ改善にはもっとできることがあるはずという課題意識は同じでしたし、実際に企業からも「配信終了後に分析しても次の施策に活かせない」といった声を多く聞いていました。
テレビCMと同様に動画広告もプログラマティック化
――ちなみに、これまではどういったプロセスで配信・分析が進んでいたのでしょうか?
高瀬:たとえば、複数の動画広告を配信し、視聴完了のタイミングとリンク先の行動で良し悪しを判断して絞り込むというやり方があります。当然、リサーチも入れてブランドリフト値も把握し、評価に組み込んでいました。
ただ、それだけだと、個々の動画素材の具体的に何が良かったのか、あるいは悪かったのかがわかりません。視聴完了率と質問票で得た定性情報しか判断材料がないので、次にどういう動画にすればいいのか明確にはつかみきれないのです。
――そこで今回両社が新たに提案する配信・分析プロセスはどのようなものになりますか。
高瀬:今後は、最初に数本配信した段階でユーザーの行動を細かくトラッキングし、それを元に仮説を立てて素材のつくり替えを行います。視聴データでオーディエンスを細分化して、次の施策につなげることも可能です。
最初に制作するのは数本で、徐々に素材を作り変えていくというのもポイントです。いきなり100本作って回せるほどの資金的な体力があればいいですが、そうもいかないので。
――なるほど、今回の取り組みは、企業にとって費用対効果が高まる施策でもあるわけですね。
高瀬:ええ。バナー広告のプログラマティック取引と同じイメージで、いち広告フォーマットを動画として捉える、という考え方です。
プログラマティックという点では、今では同じ映像の広告であるテレビCMも、どんどんデータドリブンに取引できるようになっています。米国ではアドレッサブルTVが主流になりつつありますし、日本でも直近で日本ケーブルテレビ連盟が利用世帯すべてに共通IDを付与するという発表がありました。さらに、体の向きや表情で、どういう環境で視聴しているかを推測する研究も進んでいます。
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