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Z世代とミレニアル世代

北米で人気沸騰!「食べられる口紅」に見る、ミレニアル世代女性の “新しい消費観”


「食べられる」口紅を求める、ミレニアル世代女性の心理

  冒頭で述べたとおり、Bite Lip Labを際立たせているのは「食べられる」というコンセプトだ。食べられるとはどういうことか……担当してくれたアーティストに聞いたところ、通常の口紅に含まれているパラベンや硫酸塩、フタル酸など化学物質を一切使用しておらず、「食べ物と同等」の原材料を使用しているのだそう。

 一般的な口紅も口に入ることを配慮して人体に有害な物質を使ってはいない。しかしBite Lip Labの口紅の主な原材料は、ココナッツオイルとモノイバター(ティアレという花のエキスから作られる保湿力の高いバター)、そして柑橘系の果物の抽出エキスなど、すべて「食べ物由来」の成分。

 さらに、できるかぎりオーガニックなものを選ぶなど原材料に対するこだわりは強い。原材料に配慮する化粧品ブランドはこれまでにも存在したが、お洒落な女性が求める洗練されたデザインの商品が市場になかったこと、さらにオーダーメイドで「パーソナライズ」できるブランドがないことに目をつけた、創業者Susanne Langmuir氏の判断は正しかった。

 この「オールナチュラル×パーソナライズ」というコンセプトが、トレンドに敏感な女性にヒット。今では北米に3店舗を構えるまでに拡大、世界中からこの店を目当てに人が訪れる「観光スポット」にまでなっている。

完成した筆者の赤リップ。同社の口紅はテイラー・スイフトなどミレニアル世代のセレブも愛用する

 "You are what you eat. What you put on your lips, you eat." とはLangmuir氏の言葉。人のからだは、食べるものや身に着けるもの・・・すべて自分の「選択」で形づくられているということだ。

 ミレニアル世代の女性は結婚し、家庭を持ち始める世代でもある。となると、自分のためだけではなく、子どもなど家族のために、自分の選択に「責任」を持ちたいと考える人も多いだろう。Bite Beautyはそんな責任感の強いミレニアル世代の女性消費者のニーズに、原材料や価格の「透明性」を高めることで応えている。来店当日、娘の「ファースト・リップスティック」を選びに、若い女性客が店を訪れていたのが印象的だった。

 「食べられる」口紅、このトレンドから見えてきたのは、他の世代の消費者なら目を向けなかったであろう「ブランドの内側」まで精査し、必要なモノにはきちんと「投資」をするという、「責任感の強い」ミレニアル世代の女性の姿だった。

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この記事の著者

橋本 沙織(ハシモト サオリ)

大阪大学外国語学部卒。半導体メーカー勤務を経て、2014年よりニューヨーク在住。フリーライターとしてマーケティング、ITや子育てに関連する情報をネットで紹介する傍ら、フードスタイリストとしても活躍中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/13 14:29 https://markezine.jp/article/detail/26930

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